【浦和】ACL「惨敗」の理由。なぜ、一度もベストメンバーをぶつけなかったのか?

カテゴリ:Jリーグ

塚越 始(サッカーダイジェスト)

2015年04月22日

クラブとしてアジア戦略のビジョンは描かれていたのか?

これまで公式戦はノーゴール。指揮官が昨季から毎試合起用している李だが、期待に応えられずにいる。(C)徳原隆元

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 もちろんペトロヴィッチ監督からすれば、決して駒を落として臨んだつもりはないだろう。この5節の大型DFの同時起用などは“ACL対策”として、以前から構想を抱いていた一手のはずだ。これが浦和であり、Jリーグがアジアで置かれた現実なのだと言えば、そうなのかもしれない。
 
 それでも……浦和は本当に力を出し切って敗れたのか? 結局、そうとも言えないところに、虚しさを覚えるのだ。
 
 日本勢のアジアでの存在意義を高めるため、JリーグはACL出場チームにそれなりに考慮したリーグ日程を組んだ(まだ物足りないという意見もあるだろうが)。それに、今季からは2ステージ制が採用されたのだ。開き直れば第2ステージで挽回できるというメリットも、ACL出場組の浦和にはあったはずだ。
 
 そうしたなかで、クラブとしてアジア戦略のビジョンはどのように描いていたのか(フロントと監督、現場の共有意識など)? そのあたりも精査する必要がある。
 
 開幕前に主将の阿部は「アジアに浦和のサッカーを見せつけたい」と言っていたが、それは“またも”実現できなかった。シーズン開幕から2か月も経たずして、クラブが懸けていた大きなタイトルを、早くもひとつ逃してしまった。今後は4勝2分といまだ無敗で首位を走るJリーグ、そしてナビスコカップに懸けることになる。
 
 このACL敗退の悔しさをその国内の舞台でぶつけるしかない。
 
 新加入のズラタン、武藤らがコンビネーションから得点に絡み出し、浦和ユース出身の2年目の関根が右WBでレギュラーを掴む勢いにあるなど、ここに来て、チーム力の上積みが顕著だ。互いが上手く刺激し合えれば、このまま突き抜けて行くだけの戦力は擁している(一枚岩になれれば、という条件は付きそうだが……)。
 
 浦和が昨オフに即戦力の大量補強を行なったのは、ACLとJリーグを並行して戦い続けることを想定したものだった。今後は余剰気味になる戦力をいかにしてまとめ、そして適材適所で使い分けるのか。ペトロヴィッチ監督には、かなり難度の高い手綱さばきが要求される。
 

試合後、サポーターに深々と頭を下げる阿部(手前)ら選手たち。浦和のチーム力の“最大値”をこのACLで見られなかったことが、残念でならない。(C)徳原隆元

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