「韓国代表に負けたくない気持ちは今も強い。いつかリベンジしたい」
ただ、U-20ワールドカップ連続出場記録を途切れさせた選手たちは「ここから這い上がってやる」と凄まじい闘争心を燃やした。永井自身も「本気で五輪と日本代表を目指してやるのだ」と本気モードに入った。
「『見返してやる』という気持ちが一気に強まりました。あの韓国戦がなかったらここまでサッカーをやってないと思うくらいの重要な転機でした。自分の中のスイッチが切り替わった瞬間だったのは間違いない。あの2年後の2010年に南アフリカ・ワールドカップにサポートメンバーとして行かせてもらい、勝つ集団というのがどういうものか分かったのも大きかった。全員が同じ方向を見て結束して戦わないと上には行けないと痛感したのです。ジェッダで韓国に負けた時の僕らにはそこまでの一体感はなかった。それを再認識するいい機会になりました」
永井は南アから5か月後の2010年アジア大会(広州)優勝の原動力となる。同大会の日本はまたもクラブ事情で主力級を呼べず、J1で出ていない選手、永井や山村和也(川崎)のような大学生がメイン。それでも関塚隆監督(現協会ナショナルチームダイレクター)の的確なマネージメントが奏功し、組織的かつ連動性の高いサッカーを披露。アジア王者へと上り詰め、2012年ロンドン五輪に向かう土台を築くことができた。ロンドンに至るまでの道のりも困難の連続だったが、「みんながまとまって連動し、ハードワークを続けていれば必ず勝てる」という確信を持って永井はピッチに立ち続け、ついに世界舞台を勝ち取ることに成功する。そのロンドン本大会でもスペインやエジプトを撃破。メダル一歩手前まで辿り着いた。
「3位決定戦の相手はご存じの通り、韓国。アジアユースで負けた時の主力が多くいて、サッカースタイルも全く同じでした。ジェッダでボコボコにされた分、勝ちたい気持ちは強かったけど、またも負けて本当に悔しい思いをしました。ク・ジャチョル選手(アル・ガルファ)など当時の代表メンバー数人が韓国代表から離れたけれど、彼らに負けたくない気持ちは今も強い。いつかリベンジしたいですね」
現在は右肩脱臼の大ケガからの復帰途上にいるが、高いレベルへの渇望は30代になった今も変わらない。森保一監督率いる日本代表でも重要な戦力と位置付けられているだけに、早期の復活が待ち望まれるところだ。
「ユース年代から代表で戦ってきて感じるのは、球際の部分や激しさで負けていたら、絶対に上には行けないということ。日本の若い世代はうまい選手がたくさんいるし、技術・戦術レベルが急激に上がっているのは間違いない。だからこそ、日本人のよさを継続しつつ、タフに戦う部分を子どもの頃から意識していくことが大事だと思います。あの韓国戦に負けた経験者として、そこは改めて強調しておきたい部分ですね」
永井の言葉は重い。それを我々は今一度、噛み締める必要があるだろう。
取材・文●元川悦子(フリーライター)
「『見返してやる』という気持ちが一気に強まりました。あの韓国戦がなかったらここまでサッカーをやってないと思うくらいの重要な転機でした。自分の中のスイッチが切り替わった瞬間だったのは間違いない。あの2年後の2010年に南アフリカ・ワールドカップにサポートメンバーとして行かせてもらい、勝つ集団というのがどういうものか分かったのも大きかった。全員が同じ方向を見て結束して戦わないと上には行けないと痛感したのです。ジェッダで韓国に負けた時の僕らにはそこまでの一体感はなかった。それを再認識するいい機会になりました」
永井は南アから5か月後の2010年アジア大会(広州)優勝の原動力となる。同大会の日本はまたもクラブ事情で主力級を呼べず、J1で出ていない選手、永井や山村和也(川崎)のような大学生がメイン。それでも関塚隆監督(現協会ナショナルチームダイレクター)の的確なマネージメントが奏功し、組織的かつ連動性の高いサッカーを披露。アジア王者へと上り詰め、2012年ロンドン五輪に向かう土台を築くことができた。ロンドンに至るまでの道のりも困難の連続だったが、「みんながまとまって連動し、ハードワークを続けていれば必ず勝てる」という確信を持って永井はピッチに立ち続け、ついに世界舞台を勝ち取ることに成功する。そのロンドン本大会でもスペインやエジプトを撃破。メダル一歩手前まで辿り着いた。
「3位決定戦の相手はご存じの通り、韓国。アジアユースで負けた時の主力が多くいて、サッカースタイルも全く同じでした。ジェッダでボコボコにされた分、勝ちたい気持ちは強かったけど、またも負けて本当に悔しい思いをしました。ク・ジャチョル選手(アル・ガルファ)など当時の代表メンバー数人が韓国代表から離れたけれど、彼らに負けたくない気持ちは今も強い。いつかリベンジしたいですね」
現在は右肩脱臼の大ケガからの復帰途上にいるが、高いレベルへの渇望は30代になった今も変わらない。森保一監督率いる日本代表でも重要な戦力と位置付けられているだけに、早期の復活が待ち望まれるところだ。
「ユース年代から代表で戦ってきて感じるのは、球際の部分や激しさで負けていたら、絶対に上には行けないということ。日本の若い世代はうまい選手がたくさんいるし、技術・戦術レベルが急激に上がっているのは間違いない。だからこそ、日本人のよさを継続しつつ、タフに戦う部分を子どもの頃から意識していくことが大事だと思います。あの韓国戦に負けた経験者として、そこは改めて強調しておきたい部分ですね」
永井の言葉は重い。それを我々は今一度、噛み締める必要があるだろう。
取材・文●元川悦子(フリーライター)