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【U-20激闘譜】「あの敗戦がなかったら…」屈辱の韓国戦惨敗で世界に目覚めた永井謙佑。U-20W杯連続出場が途切れた衝撃

カテゴリ:連載・コラム

元川悦子

2020年07月12日

「ユース年代といえどもクラブ事情が優先される時代」へ

屈辱の敗戦を喫した永井はその後、アジア大会での優勝、A代表入り、そして五輪出場へとステップアップした。(C) Getty Images

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 2007年11月にはタイで行われた1次予選に参戦。日本はチャイニーズ・タイペイ、モルジブ、ミャンマー、ラオスを順当に撃破し、タイとの最終決戦に挑んだ。この試合も簡単な戦いにはならず、高温多湿のバンコクの気候にも苦しめられたが、最終的には3-2で追いすがる相手を振り切り、最終予選へと駒を進めた。それから1年間もベルギー・オランダ遠征、サウジアラビア遠征、SBSカップや仙台カップなどで強化を図りながら、少しずつ前進していた。永井自身も長時間のフライトを経て異国で試合をする大変さ、猛暑の環境下で持ち味のスピードや運動量を出す難しさを体感しながら、本番に備えていた。

「最終予選の会場のジェッダはものすごく暑かった。日本では体験できない環境でした。限られた時間のトレーニングでしっかり動いて汗をかいておかないと試合になったら動けない。そういう調整方法も学んで、あえて強度の高い動きをやったりしましたね」

 こうした成果があり、永井は初戦・イエメン戦でジョーカーと位置付けられたが、早い時間帯に負傷した柿谷に代わって登場するや否や、32分にチーム2点目をゲット。5-0の快勝の原動力となった。続くイラン戦ではハットトリックを達成し、チームを4-2の勝利へと導くことに成功。グループ最終戦のサウジ戦では無得点だったものの、日本は1-1でドロー。ここまでは苦しみながらも、まずまずの結果を出していた。

 そんな牧内ジャパンの逆風となったのが、エース香川の離脱。セレッソ大阪の意向によって韓国戦を前に帰国の途に着いたのだ。大会前に決まっていたこととはいえ、大黒柱の離脱は想像以上に痛かった。すでに金崎はナビスコカップ決勝のため辞退しており、負傷の柿谷も使えない。前線が手薄になったうえ、鈴木大輔(浦和)というU-17経験組のDFもケガで不在。チームの軸を担うべき重要な戦力を欠いたのだ。

「鈴木大輔選手の不在やケガ人、クラブ事情でチームを離脱するなど難しい問題が重なりました。経験のある香川選手とかが落ち着かせてくれれば変わった部分はあったと思います」と永井も悔しさを滲ませるしかなかった。

 この敗戦を受け、香川と金崎がクラブ優先になったことが物議を醸したが、「ユース年代といえどもクラブ事情が優先される時代」に突入したのは事実だろう。ナイジェリアの頃はJクラブで試合に出ていた小野伸二(琉球)や稲本潤一(相模原)を代表活動に長期派遣するのは当たり前だったが、そういう常識が変わりつつあった。それだけ代表活動が難しくなったということであり、牧内監督は過去にない壁に阻まれたと言っていい。
 
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