2試合目のトレーニングマッチでは、鈴木が強烈なタックルで存在感を示す。
ニューイヤーカップの後に組まれた2試合目(トレーニングマッチ)でも、数多くの収穫があった。
右腓骨骨折をしていたFW興梠が昨年11月以来実戦復帰し、不整脈を患っていたボランチの鈴木もプレシーズン3度目の90分フル出場を果たし、コンディションの良さを窺わせた。
特に鈴木は球際で再三に渡って磐田の選手に強烈なタックルを食らわせ、やはり彼の守備が浦和には不可欠だという存在価値を示した(今回、記者席がピッチサイドだったので、その迫力と巧さに感嘆のため息を何度か漏らしてしまった)。
鈴木は冷静に振り返る。
「昨年末の5試合に出られなかったことと比べれば、90分を3本できているのは上出来。でも、これまでのキャンプと比較したら、納得できていないところもある。もっと上げていかないといけない」
昨季の主力だった阿部と鈴木のボランチのセットがトレーニングマッチである2試合目に出たのは、いつでも彼らはトップチームにすんなり加われること、今のうちにさまざまな選手の特徴を把握させること、逆に若手にふたりからなにかを吸収させること、などのチームとしての狙いが感じ取れた。
そして、おそらく試合数が増加する今季は、阿部、鈴木や平川といったベテランを休ませるケースが想定される。そこで1本目のニューイヤーカップでは、昨季リーグ戦全試合にフル出場した文字通りの大黒柱である阿部が不在となる状況を、今のうちにシミュレートしておいたと言えた。
高木のフリックから梅崎がシュートを突き刺し、鈴木のFKから興梠が復帰弾を決め、阿部のクロスに大学生の練習生が合わせて叩き込む――。3ゴールに軒並み注目株の選手が絡んだのも、開幕に向けて良い兆候と言えそうだ。
課題を挙げるならば、レンタル移籍を経験した小島、岡本の復帰組か。新加入組や既存の主力組の積極性がピッチの外にも伝わるほど感じられる一方、小さなミスを繰り返してプレーが小さくなってしまった印象で、今ひとつパンチ力が感じられなかった。
特に小島には、もっとアグレッシブさを見せてほしいところだ。
守備の対応を体感させるため、現在はストッパー起用も試されている。そして磐田戦では1本目の後半途中から、青木の負傷により、急遽本職のボランチでチャンスを掴んだ。
が、徳島でリアクションサッカーに慣れてしまった影響もあるのだろうか。切り替えのスピードが一歩遅く、守備対応時に周りが16ビートを刻んでいる時に、ひとりだけ8ビートでいるような、どこか流れに乗れていない印象を受けた。
自分のテンポも大切だ。ただボランチのライバルである、青木が展開力を高め、鈴木が守備で存在感を示すなか、小島が特ち味である精度の高い多彩なパスとキックを出していくには、まず彼ら以上の運動量とテンポを臨機応変に切り替えていく対応力を上げるべきだろう。
岡本は守備を固めたい時のWB起用も想定される。ハマれば先発の座も掴めるポテンシャルはある。そのためにはこの日見られたようなフィードミスは減らしたい。
生え抜き組の底上げは、今季の浦和のテーマのひとつに挙げられる。
新加入組の武藤や高木の積極性を見ていると、レンタル復帰組やユース昇格組のふたりは、貪欲さをもっと前面に押し出してもいいのではないかと感じた。
そういった課題が垣間見えたことを含め、充実の磐田との2連戦――180分間だった。
取材・文:塚越 始(サッカーダイジェスト編集部)
右腓骨骨折をしていたFW興梠が昨年11月以来実戦復帰し、不整脈を患っていたボランチの鈴木もプレシーズン3度目の90分フル出場を果たし、コンディションの良さを窺わせた。
特に鈴木は球際で再三に渡って磐田の選手に強烈なタックルを食らわせ、やはり彼の守備が浦和には不可欠だという存在価値を示した(今回、記者席がピッチサイドだったので、その迫力と巧さに感嘆のため息を何度か漏らしてしまった)。
鈴木は冷静に振り返る。
「昨年末の5試合に出られなかったことと比べれば、90分を3本できているのは上出来。でも、これまでのキャンプと比較したら、納得できていないところもある。もっと上げていかないといけない」
昨季の主力だった阿部と鈴木のボランチのセットがトレーニングマッチである2試合目に出たのは、いつでも彼らはトップチームにすんなり加われること、今のうちにさまざまな選手の特徴を把握させること、逆に若手にふたりからなにかを吸収させること、などのチームとしての狙いが感じ取れた。
そして、おそらく試合数が増加する今季は、阿部、鈴木や平川といったベテランを休ませるケースが想定される。そこで1本目のニューイヤーカップでは、昨季リーグ戦全試合にフル出場した文字通りの大黒柱である阿部が不在となる状況を、今のうちにシミュレートしておいたと言えた。
高木のフリックから梅崎がシュートを突き刺し、鈴木のFKから興梠が復帰弾を決め、阿部のクロスに大学生の練習生が合わせて叩き込む――。3ゴールに軒並み注目株の選手が絡んだのも、開幕に向けて良い兆候と言えそうだ。
課題を挙げるならば、レンタル移籍を経験した小島、岡本の復帰組か。新加入組や既存の主力組の積極性がピッチの外にも伝わるほど感じられる一方、小さなミスを繰り返してプレーが小さくなってしまった印象で、今ひとつパンチ力が感じられなかった。
特に小島には、もっとアグレッシブさを見せてほしいところだ。
守備の対応を体感させるため、現在はストッパー起用も試されている。そして磐田戦では1本目の後半途中から、青木の負傷により、急遽本職のボランチでチャンスを掴んだ。
が、徳島でリアクションサッカーに慣れてしまった影響もあるのだろうか。切り替えのスピードが一歩遅く、守備対応時に周りが16ビートを刻んでいる時に、ひとりだけ8ビートでいるような、どこか流れに乗れていない印象を受けた。
自分のテンポも大切だ。ただボランチのライバルである、青木が展開力を高め、鈴木が守備で存在感を示すなか、小島が特ち味である精度の高い多彩なパスとキックを出していくには、まず彼ら以上の運動量とテンポを臨機応変に切り替えていく対応力を上げるべきだろう。
岡本は守備を固めたい時のWB起用も想定される。ハマれば先発の座も掴めるポテンシャルはある。そのためにはこの日見られたようなフィードミスは減らしたい。
生え抜き組の底上げは、今季の浦和のテーマのひとつに挙げられる。
新加入組の武藤や高木の積極性を見ていると、レンタル復帰組やユース昇格組のふたりは、貪欲さをもっと前面に押し出してもいいのではないかと感じた。
そういった課題が垣間見えたことを含め、充実の磐田との2連戦――180分間だった。
取材・文:塚越 始(サッカーダイジェスト編集部)