「スポーツなしの人生なんて想像できない。でも…」
もうひとつはフットボールとスポーツについてだ。
彼は「必然的に、自分がカバーしたリヨン対ユベントス(2月26日のチャンピオンズ・リーグ)と関係があるのではないかと疑った。試合後にレストランにも行って、そこにはイタリア人サポーターも来ていたからね」と振り返った。加えて「試合と発症の間に3週間あるから、ウィルスに感染した要因は他にも1000ぐらい心当たりがある」と分析してもいる。
ただ、ひとつだけ確信していることがある。
「僕はスポーツなしの人生なんて想像できない。もう一度スポーツを生きたい。でも、いつでも、どんな代償を支払ってでも、ではない」
リーグ・アンの2019-20シーズンは4月30日、中止が決定した。人の命ほど大切なものはない。デュリュック氏の激闘と生還は、この当然の本質を改めて考えさせてくれているのではないだろうか。
5月2日午後、氏から「ほとんど普通に呼吸できるようになった」とのメッセージが届いた。私は万歳した。
取材・文●結城麻里
text by Marie YUUKI