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「眠るのを拒絶した…」フランス紙の熟練記者がコロナ重症化から奇跡の生還! 世間に送った“警告”とは?【現地発】

カテゴリ:ワールド

結城麻里

2020年05月03日

「路上にいる人間を見ると、罵りたくなる」

 また、その間は新型コロナウィルスに関するどんな些細な記事も、読むのを拒否した。

「ちょうど状態が悪化し始めたころに、パップ・ディウフの逝去を知ったからなんだ」

 元マルセイユ会長だったパップ・ディウフ氏は3月31日、セネガルでコロナウィルスに感染し、フランスに戻れないまま死亡したのだった。以来、「悪いニュースに出くわすのが恐くて、『L’EQUIPE』という言葉を開きたくない日さえあった」という。

 さらに「諦めはしなかったけれど、(命の)危機が最大級になったころは、全てが暗黒で出口が見えないときがあった」と告白。「毎日、前日より悪くなっていって、周囲の会話から自分がこの病気の最悪の状態に近づいていることを理解した。最初は統計にしがみついて、(感染者の)80%は一種の良性、95%パーセントは生き残るって。でも結局、自分は残り5%に近づいていることを悟った」

 新型コロナウィルスの場合、家族さえ見舞いに行けない。だが家族はもとより、ジャーナリスト仲間らが、SMS、メール、メッセージアプリなどのありとあらゆる手段を使って励まし続けた。看護士や介護士が常に充電してくれた携帯とタブレットにしがみついていたそうだ。

「もしメッセージを送るのが有効かどうか自問する人がいたら、僕はこう答える。ウィ、頼れるし、気持ちが楽になるってね。28日間、僕は誰にも会えなかったんだから」

 デュリュック氏は28日間入院し、4月22日についに退院した。「20キロも体重が減り、両足は(元フランス代表のレジェンド)ティガナの足みたいに(細く)なって、寝室から浴室に移動するのにも途中に椅子が必要」だが、とにかく自宅に戻れた。氏はいまもリハビリ中である。

 そんな彼が『L’EQUIPE』紙に談話形式で登場し、世間へふたつのメッセージを送っている。

 ひとつは医療関係者たちの献身を思うことだ。12時間ぶっ続けで食事もとらずに働き続け、すでに退職した医師や他分野の医療関係者までが蘇生に駆けつけていたのを見て、デュリュック氏は「感謝の言葉が見つからない」と話した。そして、過酷な医療現場を目の当たりにした経験を踏まえ、こう語った。

「路上で何でも構わずやっている人たちを見ると、罵りたくなる……。もし(感染の)第二波がきたら、医療関係者たち(の心身)がもつかどうかわからない」。医療関係者に感謝して拍手する行動も広がっているが、「もし40人が、歩道で踊るために拍手をするなら、何の意味もない。踊りたい気持ちはよくわかるが、単純にやってはいけないのだ」

 「40人」「ダンス」というのはフランス特有の喩え。要するに、まだまだ油断せず、外出を控えて接触を絶ち、感染を防がないと、大変なことになるというメッセージだ。
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