とはいえ、2021年にスタート予定の最終予選に向けて、柴崎の代役を用意することも考える必要がある。パスセンスや戦術眼という観点では大島がベストチョイスなのだが、川崎の10番はこれまでも肝心なところで怪我を繰り返し、大舞台を逃してきた。
昨年11月のベネズエラ戦(吹田)の時も「怪我をしないように気を付けたい」と自虐的にコメントしていたが、大島がフル稼働できる状態なら柴崎に引けを取らないパフォーマンスができるはず。再開後のJリーグを継続して万全な状態で戦うことで、さらなるレベルアップやコンディションの向上を図り、2021年は柴崎との真っ向からのポジション争いに期待したい。
大島がボランチの軸に加われば、東京五輪世代の成長株・田中碧もスムーズにA代表に入り込めるだろう。田中は「一緒にプレーしていて、すごく巧いなと感じますし、ボールを取られないところはホント際立っています。見えている範囲も広いし、見えているものの質も高いので、学ぶべき部分は多いです」と大島に最大級の敬意を払っており、代表で共演できるようになればお互いに持ち味を出しやすくなる。
パスセンス、戦術眼という観点で最も柴崎に近いのは…
そうやって柴崎抜きの組み合わせも用意することができれば、余裕を持って最終予選を戦い抜けるだろう。遠藤や橋本、山口、井手口といった候補者たちもできる限りの自己研鑽が求められてくる。柴崎と同レベルの存在感を発揮する人間が何人も出てくることが、この先の日本代表にとっては理想的なシナリオだ。
文●元川悦子(フリーライター)