「森保はずっと、監督候補だった」。広島をJ1初優勝に導いた指揮官の就任秘話

カテゴリ:Jリーグ

中野和也

2020年04月28日

広島で初めて「資産の継続」が行なわれた。これこそ、初優勝の原動力

森保監督が新潟時代から高く評価していた千葉和彦をリベロに抜擢し、ビルドアップを安定させた。(C)SOCCER DIGEST

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 そのうえでチーム力を詳細に分析し、ペトロヴィッチ監督が築いたサッカーの継続を決めた。守備にはある程度のアレンジを加えるが、基本的には戦術を踏襲する。特に攻撃面では1トップ2シャドーを中心に5枚が前線に並ぶやり方も、可変システムもそのまま引き継いだ。新潟時代から高く評価していた千葉和彦をリベロに抜擢し、ビルドアップを安定させたことも森保監督の工夫ではあるが、それも前任者から引き継いだ「ビルドアップ哲学」を踏襲するためのもの。

 これまでの広島は、監督が変わる度にサッカーのコンセプトも変わった。ペトロヴィッチ監督→森保監督となって、広島で初めて「資産の継続」が行なわれた。これこそ、12年に予想外の初優勝を飾った原動力となったのだ。鹿島が20タイトルを獲得したのには様々な要因があるが、大きな力となったのは歴代のチームにしっかりと戦術的な資産の継続が行なわれてきたからだ。世界を見ても、例えばバルセロナにはそういう徹底した継続性がある。瞬間風速でない力の裏側には、継続は絶対に必要。特に広島のような規模のクラブであれば、なおさら必要ではないか。ひとりで試合を決めてしまう強烈な個を招請するわけではないのだから。
 
 12年の初優勝によって、広島には「勝者のメンタリティ」が初めて注入された。ただそれは、08年のJ2時代に確立され、ペトロヴィッチ監督から森保監督へと引き継がれた資産があってこそ、附加された財産だ。そして引き継がれた資産は紆余曲折とアレンジを経ながら、城福浩監督の下での広島にも脈々と活きている。

取材・文●中野和也(紫熊倶楽部)

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