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リアル“南葛SC”の2019年シーズン——つくづく感じさせられた「チームはいきもの」だということ

カテゴリ:特集

伊藤 亮

2019年12月06日

生身の人間による真剣勝負の場にいるということ

今季は目標の関東リーグ昇格を果たせなかったチームだが、今シーズンの経験を糧に

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 南葛SCの場合、シーズンが後半に向かうにつれ、どうにか現状を打破しようと必死になっているのは、選手個々のプレーを見ていて痛いほど伝わってきていた。

 象徴的だったのは第13節の東京海上FC戦であったと思う。この時点で、南葛SCにはまだ関東リーグ昇格プレーオフにあたる関東社会人サッカー大会出場条件(3位以内)を満たせる可能性があった。上位の東京海上FCに直接対決で勝てば、その可能性はグッと高まることは選手もサポーターも分かりすぎるほどに分かっていた。事実、試合に臨む選手たちのモチベーションは高いものに見えた。

しかし結果は1-4。この敗戦をどう説明するか考えた際に、ここまでのシーズンの流れを意識せざるをえなかった。選手個々のステータスを数値化して他チームと比較したとすれば、南葛SCは間違いなくリーグでも三指に入る。しかし南葛SCがしているサッカーはテレビゲームではない。生身の人間による真剣勝負なのだ。

 東京都社会人サッカーリーグ1部は2019年シーズンの全日程を終え、関東社会人サッカー大会も終了した。

 東京都の代表として関東社会人サッカー大会に進出した、エリース東京FC、CERVEZA FC東京、駒澤大学 GIOCO 世田谷の3チームは関東リーグ昇格が叶わず、来季も東京都社会人サッカーリーグ1部に身を置くことになる。東京都社会人サッカーリーグ2部に目を転じれば、南葛SCが今シーズン苦戦した大学生チームが1部に昇格を決めている。

 Jリーグ入りを目指すクラブも増え、東京都の社会人サッカーのレベルは上がり、いよいよ本格的な戦国時代に突入している。この先、いつ何時、南葛SCが2019年と同じようなチームの流れになるか分からない。

 一度、負の流れにはまると抜け出すのは難しい。これが今シーズンの教訓だとするならば、同じ轍を踏まないようにするためには、事前から負の要素を排除するような準備が必要なのかもしれない。それでもはまりそうになったら、流れが定まる前のなるべく早い段階で手を打つ。それには「人の心」――月並みな言葉しか思い浮かばないが、勇気や闘志、決意といったポジティブな心――で断固立ち向かう覚悟が必要だ。

 今シーズンの経験をどう未来に活かすか、はチームがこれから決めることだ。しかし、一度苦しみを味わった人間は強い。そういった人間の集団はさらに強い。じつは、南葛SCが強力な武器を身につける大きなチャンスが今、到来しているのは事実だろう。(文中敬称略)

※このシリーズ了

取材・文●伊藤 亮
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