生身の人間による真剣勝負の場にいるということ
南葛SCの場合、シーズンが後半に向かうにつれ、どうにか現状を打破しようと必死になっているのは、選手個々のプレーを見ていて痛いほど伝わってきていた。
象徴的だったのは第13節の東京海上FC戦であったと思う。この時点で、南葛SCにはまだ関東リーグ昇格プレーオフにあたる関東社会人サッカー大会出場条件(3位以内)を満たせる可能性があった。上位の東京海上FCに直接対決で勝てば、その可能性はグッと高まることは選手もサポーターも分かりすぎるほどに分かっていた。事実、試合に臨む選手たちのモチベーションは高いものに見えた。
しかし結果は1-4。この敗戦をどう説明するか考えた際に、ここまでのシーズンの流れを意識せざるをえなかった。選手個々のステータスを数値化して他チームと比較したとすれば、南葛SCは間違いなくリーグでも三指に入る。しかし南葛SCがしているサッカーはテレビゲームではない。生身の人間による真剣勝負なのだ。
東京都社会人サッカーリーグ1部は2019年シーズンの全日程を終え、関東社会人サッカー大会も終了した。
東京都の代表として関東社会人サッカー大会に進出した、エリース東京FC、CERVEZA FC東京、駒澤大学 GIOCO 世田谷の3チームは関東リーグ昇格が叶わず、来季も東京都社会人サッカーリーグ1部に身を置くことになる。東京都社会人サッカーリーグ2部に目を転じれば、南葛SCが今シーズン苦戦した大学生チームが1部に昇格を決めている。
Jリーグ入りを目指すクラブも増え、東京都の社会人サッカーのレベルは上がり、いよいよ本格的な戦国時代に突入している。この先、いつ何時、南葛SCが2019年と同じようなチームの流れになるか分からない。
一度、負の流れにはまると抜け出すのは難しい。これが今シーズンの教訓だとするならば、同じ轍を踏まないようにするためには、事前から負の要素を排除するような準備が必要なのかもしれない。それでもはまりそうになったら、流れが定まる前のなるべく早い段階で手を打つ。それには「人の心」――月並みな言葉しか思い浮かばないが、勇気や闘志、決意といったポジティブな心――で断固立ち向かう覚悟が必要だ。
今シーズンの経験をどう未来に活かすか、はチームがこれから決めることだ。しかし、一度苦しみを味わった人間は強い。そういった人間の集団はさらに強い。じつは、南葛SCが強力な武器を身につける大きなチャンスが今、到来しているのは事実だろう。(文中敬称略)
※このシリーズ了
取材・文●伊藤 亮
象徴的だったのは第13節の東京海上FC戦であったと思う。この時点で、南葛SCにはまだ関東リーグ昇格プレーオフにあたる関東社会人サッカー大会出場条件(3位以内)を満たせる可能性があった。上位の東京海上FCに直接対決で勝てば、その可能性はグッと高まることは選手もサポーターも分かりすぎるほどに分かっていた。事実、試合に臨む選手たちのモチベーションは高いものに見えた。
しかし結果は1-4。この敗戦をどう説明するか考えた際に、ここまでのシーズンの流れを意識せざるをえなかった。選手個々のステータスを数値化して他チームと比較したとすれば、南葛SCは間違いなくリーグでも三指に入る。しかし南葛SCがしているサッカーはテレビゲームではない。生身の人間による真剣勝負なのだ。
東京都社会人サッカーリーグ1部は2019年シーズンの全日程を終え、関東社会人サッカー大会も終了した。
東京都の代表として関東社会人サッカー大会に進出した、エリース東京FC、CERVEZA FC東京、駒澤大学 GIOCO 世田谷の3チームは関東リーグ昇格が叶わず、来季も東京都社会人サッカーリーグ1部に身を置くことになる。東京都社会人サッカーリーグ2部に目を転じれば、南葛SCが今シーズン苦戦した大学生チームが1部に昇格を決めている。
Jリーグ入りを目指すクラブも増え、東京都の社会人サッカーのレベルは上がり、いよいよ本格的な戦国時代に突入している。この先、いつ何時、南葛SCが2019年と同じようなチームの流れになるか分からない。
一度、負の流れにはまると抜け出すのは難しい。これが今シーズンの教訓だとするならば、同じ轍を踏まないようにするためには、事前から負の要素を排除するような準備が必要なのかもしれない。それでもはまりそうになったら、流れが定まる前のなるべく早い段階で手を打つ。それには「人の心」――月並みな言葉しか思い浮かばないが、勇気や闘志、決意といったポジティブな心――で断固立ち向かう覚悟が必要だ。
今シーズンの経験をどう未来に活かすか、はチームがこれから決めることだ。しかし、一度苦しみを味わった人間は強い。そういった人間の集団はさらに強い。じつは、南葛SCが強力な武器を身につける大きなチャンスが今、到来しているのは事実だろう。(文中敬称略)
※このシリーズ了
取材・文●伊藤 亮