懐疑論者を黙らせた久保建英のデビュー戦。それでも「新シーズンはBチーム」と予想する根拠と懸念

カテゴリ:海外日本人

吉田治良

2019年07月22日

カスティージャで戦う際にひとつ気掛かりなのは…

 それは、ガレス・ベイルの退団が決定的になった両サイドでも同じだ。左にはアザール、ヴィニシウス、右にはマルコ・アセンシオ、ルーカス・バスケスとレギュラークラスが2枚ずつ揃っている。さらに久保と同じ18歳のニューフェイスで、このバイエルン戦で直接FKからゴールを決めたロドリゴ、スペインU-21代表の有望株ブラヒム・ディアスなどもチャンスを窺っており、おいそれとは出番が回ってきそうにない。
 
 あくまで現実的なプランを描くなら、まずはカスティージャでラウール・ゴンサレス監督の信頼を勝ち取り、実力を蓄えつつ不動のレギュラーとしての地位を固め、昨シーズンのヴィニシウスのように昇格のチャンスを辛抱強く待つことだ。そして、与えられた出番で確実にインパクトを残すことだ。
 
 ただ、カスティージャで戦う際にひとつ気掛かりなのは、日本代表の一員としてコパ・アメリカの大舞台を踏み、その後、間髪入れずにマドリーのトップチームに合流。連日スタープレーヤーとともにトレーニングを重ね、そして実戦デビューも飾ったこの夢のような1か月と、これから始まるハードな2部B(実質3部)での戦いとの“巨大なギャップ”に、まだ18歳の若者が戸惑ってしまわないかということだ。
 

 マドリーのサテライトチームだけに、カスティージャは他の多くの2部Bチームと比べれば、もちろん待遇面は恵まれている。とはいえ、日本代表やマドリーのトップチームの比ではないはずだ。カスティージャが籍を置く2部B・グループ1の遠征先には長距離移動を伴う島のクラブがいくつもあり、さらにアウェーのグラウンドは広さも十分ではなく、荒れたピッチが大半だと聞く。久保のようなテクニシャンを、対戦相手はファウル覚悟のタックルで潰しにくるだろうし、チームメイトも1を言えば10を知る良き理解者ばかりではないだろう。
 
 五つ星ホテルのペントハウスを追い出され、いきなりワンルームマンションの一室に押し込められるようなギャップに、果たして耐えられるのか──。
 
 もっとも、18歳にしてすでに成熟した大人の思考を持ち、今の自分に足りないものを貪欲に追い求める久保ならば、大丈夫だろうとも思う。むしろメディアの攻勢から逃れ、静かに自分を磨けると、そんな風に気持ちを切り替えて、置かれた状況を楽しんでしまうのかもしれない。
 
 もちろん、そうした外野の予測さえも鼻で笑い、久保がこのままトップチームに引き上げられ、夢のようなキャリアを当たり前のように継続する可能性も100パーセントないとは言い切れない。大人たちの常識と想像を軽々と飛び越えていく久保の“跳躍力”は、そう断言できないほど計り知れないのだ。

文●吉田治良(スポーツライター)

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