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久保建英のトップチーム昇格の可能性は? スペイン紙マドリー番記者は「現実的な目標は21年夏に」

カテゴリ:海外日本人

セルヒオ・サントス

2019年07月04日

21年夏にトップチームへ。これが現実的な目標だ

「白い巨人」レアル・マドリーのトップ昇格への道は果てしなく険しい。新シーズンもE・アザールが加入するなど、世界トップクラスの名手が名を連ねる。(C) Getty Images

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 マドリー入りが決まってからというもの、ニュース番組で久保のスーパープレー集が流れたり、左足に吸い付くような独特のボールタッチをメッシと比較する記事が新聞に掲載されるなど、メディアは連日のようにこの若者を扱っている。以前から世代を代表する選手としてアナリストの間では高い評価を受けていたが、最近は一般のファンの間にもその名前が確実に浸透してきている。
 
 日本のファンが、1年目からトップチームで活躍する姿を見たいと望んでいるのは知っている。しかし、トップチームの壁は果てしなく高い。1年目にトップチームに引き上げられたとしても、出場機会は格下が相手のコパ・デル・レイ(国内カップ)の試合などに限られるだろう。昨季はヴィニシウスが1年目から鮮烈な活躍を見せたが、これは極めて例外的なケースである。
 
 久保がモデルケースとすべきはマルコ・アセンシオだろう。アセンシオは14年12月にマドリーと契約した後、残りのシーズンは所属していたマジョルカにレンタルという形で留まった。そして翌シーズン、大きな期待を受けてマドリーに入団したが、トップチームに居場所がなく開幕前にエスパニョールにレンタルされた。
 
 アセンシオにとって大きかったのは、その武者修行先でカップ戦を含めて37試合に出場と十分に場数を踏んだことだ。この経験があったからこそ、正式にマドリーのトップチームに加わった翌シーズンからすぐに活躍できたのだ。
 
 カスティージャからスタートする久保にとっての1年目は、アセンシオにとってのマジョルカでのラストシーズンに置き換えられるかもしれない。その後のアセンシオの歩みになぞらえれば、2年目は1部のクラブにレンタル移籍して経験を積み、21年夏に晴れてマドリーのトップチームの一員になる――。これが久保にとっての現実的な目標ではないか。
 
 若手に過度の期待をかけてしまうのは洋の東西を問わない。行き過ぎた期待の犠牲となった例としては、元バルサのボージャン・クルキッチ(現在はイングランドのストーク・シティ所属)のケースが挙げられる。
 
 バルサのカンテラから引き上げられ、07年9月にトップチームデビューを果たしたとき、ボージャンは現在の久保より1歳若い17歳だった。デビュー後も積極的に起用され、1年目のラ・リーガで10ゴールを挙げる活躍を見せた。しかし実のところ、当時のボージャンは心身ともに1部でプレーするための準備ができておらず、そしてこのことが以降のキャリアの停滞を招いたのだ。
 
 バルサはこの苦い経験をきっかけに、若手には段階的にステップを踏ませるように方針を改めたが、マドリーも同様のスタンスをとっている。ましてや久保は入団直後から大きな注目を浴びており、より慎重な対応が必要だ。
 
 今の久保に必要なのは経験を積むことであり、フィジカルの強さを身につけることだ。入団当初のアセンシオと現在のアセンシオを比較すると、フィジカル面で遥かに逞しくなった。一流のフィジカルコーチの指導の下、最先端のメソッドを用いたトレーニングをしっかり積めば、久保も数年後には強靭なフィジカルを手に入れているはずだ。
 
 スペインにはサッカーにまつわる様々な格言がある。そのうちのひとつに「1点目を決める前に2点目を決めることはできない」というものがある。現在の久保の立場に照らせば、この格言を「カスティージャでレギュラーを取る前にマドリーでレギュラーを取ることはできない」と置き換えられる。
 
 今はまだトップチームのことを意識する必要はない。まず優先すべきは、新しい環境、そしてスペインのサッカーへの適応だ。そのうえで、カスティージャで定位置を確保して結果を残せば、おのずと1部のクラブへのレンタル移籍、そしてトップチーム昇格という道筋が見えてくる。
 
 地にしっかり足をつけて成長してほしい。そう切に願っている。
 
◆著者プロフィール
セルヒオ・サントス(『Diario AS』 紙マドリー番記者)
2010年に「Diario As」に入社し、15年よりマドリー番とスペイン代表番を務める。各世代別代表、カンテラの各チームの取材にも精力的に取り組んでいる。この6月はイタリアで開催されたU-21欧州選手権を現地で取材した。
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