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運命を変えた直訴「シャドーでやりたいです」。森島司をブレイクへ導いた壮絶ドラマ【広島】

カテゴリ:Jリーグ

中野和也

2019年07月05日

「自分のワイドは良くないって思います。シャドーでやりたいです」

右ワイドで起用された森島は、「シャドーでやりたい」と城福監督に直訴した。写真●茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

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 ワイドでもチャンスがないのなら、シャドーで勝負したい。
  
 翌日、前日練習の現場で、城福監督は森島を呼んだ。メンバーから外した決断を告げるために。
 
 この機会を逃してはいけない。
 
「自分のワイドは良くないって思います。シャドーでやりたいです」(森島)
 
「そうか。わかった。考えるし、シャドーでの機会も増やす。ただ、ワイドも並行して、だ。それにシャドーはさらに競争が厳しいぞ」(城福監督)
 
「分かりました」(森島)
 
 森島の運命は、紛れもなく、ここで変わった。
 技術、戦術眼、スピード。アタッカーとしてあらゆる能力を備えているにも関わらず、台頭を邪魔していたのは彼ののんびりとしたメンタルだ。友達としてならば、後輩としてならば、心を癒してくれる。実際、彼を可愛がる先輩、慕う後輩は多い。だが、生き馬の目を縫うような強かなプロの世界においては、噛み付くような激しさと強い覚悟が必要だ。そしてその強さを、森島はプロに入って初めて芽生えたであろう「反発心」によって、手に入れたのだ。
 
 それまでボールを失うことを恐れるかのようにバックパスを選択していた男が、相手がふたりいても突破を仕掛けるようになった。シュート練習によって磨き上げたキックを前に押し出し、ミドルからも積極的に狙った。ACLのメルボルン・ビクトリー戦、前半にシュートをふかした失敗を気にも止めず、後半に強烈なミドルを決めてみせた。その想いの強さを城福監督は高く評価。10数時間の移動をくりかえした後の浦和戦で先発に抜擢。疲労どころかサッカーができる喜びを全身で表現し、背番号14は思い切りのいいプレーを連発して全得点に絡む。
 
 もう彼は逃げない。無駄に安全策を選択しない。目の前の相手を突き破ることだけを考える、戦う男となった。
 
「いやいや、覚悟とか、そういうのではないです。言ったからにはやらなきゃいけないと思っているけれど、試合になったら忘れています(笑)」
 
 無邪気に、彼は笑う。だからこそ、試合での彼は適度に力が抜け、鋭さが爆発する。でもそれまではその鋭さが敵に向かっていなかった。人間、誰でも失敗なんてしたくない。そんな本能を森島から消し去ったのは、監督に対して「シャドーをやりたい」と自己主張した時の強さだった。
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