「代表に意識を奪われるとアクシデントに見舞われる可能性もある」
――米本選手には、頭でイメージしたプレーを体現できる身体的な強さがあると思います。
「ひとつ聞いていいですか。僕って、身体能力高いですか?」
――そう思います。敵のボールホルダーとの間合いを一気に詰めるプレーは、身体能力が高くないとできないのでは?
「でも、(体力測定は)チームでも下のほうの順位です。みんなにも『足が遅い』と言われますしね(苦笑)。それでも寄せられるのは、予測が速いからだと思います」
――試合中の米本選手を見ていると、『さっきまであそこにいたのに、なぜここにいるの?』というシチュエーションが多々あります。
「相手が見てない時に動いていたりします。それも駆け引きですよね。自分の身体能力はそこまで高くないから、駆け引きしないとボールを奪えない。頭で考えて、何手先も読む作業は僕の生命線かもしれません」
――生命線と言えば、スタミナも米本選手を支えるファクターです。
「正直、スタミナもそこまであるとは思いません」
――スタミナの使いどころが上手い、という解釈のほうが正しいですか?
「どうですかね。どれだけ走れるかは気持ちの問題かなと。僕は技術でアピールできるタイプではないので、とにかく走ろうと心がけています。『頑張ればできることを自分がやらないでどうする? 試合に出ている意味がないだろ?』と思いますから、そりゃあ、頑張ります」
――ところで、インサイドハーフで手本にしている選手はいますか?
「(今は4-2-3-1が基本の)FC東京とシステムは違いますが、(3-5-2で戦う)ユベントスのビダルは点も取れるから、素直に素晴らしいと思います」
――昨シーズンのセリエAでは、11得点・6アシスト。リーグ3連覇の立役者になりました。
「あのポジションでふた桁得点は相当凄いですよ。インサイドハーフでゴールを稼げるチームは強い。それは分かっていますが、自分はなかなか……。せめて片手ぐらい(5ゴール)は決めたいです」
――20節の鳥栖戦では、渡邉選手の折り返しから抑えの利いた、いいミドルを突き刺しました。ああいうゴールを増やしたいですね。
「あれは右サイドから来たボールをタイミング良くインステップで蹴り込めました。ちょうどその頃、練習でインステップにこだわっていたので、『成果が出た』という感じで嬉しかったです。イメージと感覚がピタリと合うようなシュートを、コンスタントに打てるようにならないとダメですよね。遠いところから狙っても、せめて枠には飛ばしたいです」
――最後に、日本代表への想いを。
「プロのサッカー選手である以上、日本代表は目指すべき場所だと思っています。ただ、代表に意識を奪われるとアクシデントに見舞われる可能性もあるので、何より怪我をしないように頑張りたいです。あとは、勘違いしないこと。自分が凄いと思ったら必ず鼻をへし折られるので。それは自分が小学生の時に、兄から教わりました。兄がいなかったら、たぶん僕はここにいません。かけがえのない存在ですよ」
――お兄さんに喜んでもらうためにも、次の代表戦に選ばれたいですね。
「世界を体感したい気持ちはあります。ブラジル相手にどこまでできるか。自分よりも上手いと思う選手とのマッチアップでしか吸収できない何かがありますから、彼らがどんなものか、戦ってみたいです」
取材・文:白鳥和洋(週刊サッカーダイジェスト)
■プロフィール■
よねもと・たくじ/ 1990年12月3日生まれ、兵庫県出身。177センチ・70キロ。瑞穂SC-伊丹FC-県立伊丹高-FC東京。J1通算118試合・4得点。今シーズン23試合・2得点。日本代表1試合・0得点(9月21日現在)。二度の大怪我を乗り越え、フィッカデンティ監督の下ではインサイドハーフとして躍動。中盤でのボール奪取は、もはや名人芸の域だ。アギーレジャパンへの招集が期待されるMFのひとり。
「ひとつ聞いていいですか。僕って、身体能力高いですか?」
――そう思います。敵のボールホルダーとの間合いを一気に詰めるプレーは、身体能力が高くないとできないのでは?
「でも、(体力測定は)チームでも下のほうの順位です。みんなにも『足が遅い』と言われますしね(苦笑)。それでも寄せられるのは、予測が速いからだと思います」
――試合中の米本選手を見ていると、『さっきまであそこにいたのに、なぜここにいるの?』というシチュエーションが多々あります。
「相手が見てない時に動いていたりします。それも駆け引きですよね。自分の身体能力はそこまで高くないから、駆け引きしないとボールを奪えない。頭で考えて、何手先も読む作業は僕の生命線かもしれません」
――生命線と言えば、スタミナも米本選手を支えるファクターです。
「正直、スタミナもそこまであるとは思いません」
――スタミナの使いどころが上手い、という解釈のほうが正しいですか?
「どうですかね。どれだけ走れるかは気持ちの問題かなと。僕は技術でアピールできるタイプではないので、とにかく走ろうと心がけています。『頑張ればできることを自分がやらないでどうする? 試合に出ている意味がないだろ?』と思いますから、そりゃあ、頑張ります」
――ところで、インサイドハーフで手本にしている選手はいますか?
「(今は4-2-3-1が基本の)FC東京とシステムは違いますが、(3-5-2で戦う)ユベントスのビダルは点も取れるから、素直に素晴らしいと思います」
――昨シーズンのセリエAでは、11得点・6アシスト。リーグ3連覇の立役者になりました。
「あのポジションでふた桁得点は相当凄いですよ。インサイドハーフでゴールを稼げるチームは強い。それは分かっていますが、自分はなかなか……。せめて片手ぐらい(5ゴール)は決めたいです」
――20節の鳥栖戦では、渡邉選手の折り返しから抑えの利いた、いいミドルを突き刺しました。ああいうゴールを増やしたいですね。
「あれは右サイドから来たボールをタイミング良くインステップで蹴り込めました。ちょうどその頃、練習でインステップにこだわっていたので、『成果が出た』という感じで嬉しかったです。イメージと感覚がピタリと合うようなシュートを、コンスタントに打てるようにならないとダメですよね。遠いところから狙っても、せめて枠には飛ばしたいです」
――最後に、日本代表への想いを。
「プロのサッカー選手である以上、日本代表は目指すべき場所だと思っています。ただ、代表に意識を奪われるとアクシデントに見舞われる可能性もあるので、何より怪我をしないように頑張りたいです。あとは、勘違いしないこと。自分が凄いと思ったら必ず鼻をへし折られるので。それは自分が小学生の時に、兄から教わりました。兄がいなかったら、たぶん僕はここにいません。かけがえのない存在ですよ」
――お兄さんに喜んでもらうためにも、次の代表戦に選ばれたいですね。
「世界を体感したい気持ちはあります。ブラジル相手にどこまでできるか。自分よりも上手いと思う選手とのマッチアップでしか吸収できない何かがありますから、彼らがどんなものか、戦ってみたいです」
取材・文:白鳥和洋(週刊サッカーダイジェスト)
■プロフィール■
よねもと・たくじ/ 1990年12月3日生まれ、兵庫県出身。177センチ・70キロ。瑞穂SC-伊丹FC-県立伊丹高-FC東京。J1通算118試合・4得点。今シーズン23試合・2得点。日本代表1試合・0得点(9月21日現在)。二度の大怪我を乗り越え、フィッカデンティ監督の下ではインサイドハーフとして躍動。中盤でのボール奪取は、もはや名人芸の域だ。アギーレジャパンへの招集が期待されるMFのひとり。