――他に注目している選手は？
 
ハーディ　ケルンの大迫だ。プレシーズンマッチでのプレーぶりには目をみはった。ブンデスリーガ２部の1860ミュンヘンにいた半年間でそれなりに活躍しただけに（15試合で６得点）、上のクラスでも通用するのか楽しみだね。CFが本職らしいけど、攻撃的MFとして衝撃的なプレーをする予感がしているよ。
 
マルティン　内田も挙げたい。ドイツで最も熱狂的なシャルケのサポーターを満足させるプレーを、果たして今シーズンも見せられるかどうか。怪我を治してどのようにこのシーズンを迎えるのか注目しているよ。
 
ハーディ　だけど内田はずっとレギュラーでコンスタントにやってきた。今さら、という気もするけど？
 
マルティン　ワールドカップの件があるからさ。シャルケでのシーズン終盤に大怪我を負い、ブラジルで打ちのめされて日本へ帰国……いろいろツイていなかった。それだけに心身ともに回復具合が気になる。
 
――岡崎の名前が出てこないが？
 
マルティン　マインツは監督が代わったから、まだなんとも読めない。昨シーズンは（前監督の）トゥヘルの起用法が的中して岡崎はひと皮剥けたけど、正直言って新監督のヒュルマンドの手腕は未知数だ。戦術がハマって岡崎の長所を引き出してくれればいいけど、ヨーロッパリーグ予選でまさかの敗退を喫し（ギリシャのアステラスに、ホームでは岡崎の得点で１-０の勝利を収めたが、アウェーの第２レグを１-３で落とす）、先行きが見えなくなった。ただ俺は岡崎のゴールセンスを評価している。強いフィジカルと俊敏性を備えた、フォワードのなかのフォワードだ。
 
――岡崎にはリバプールへの移籍の噂が出ているそうだが？
 
マルティン　おいおい、彼にそれほどのビッグクラブは不釣り合いだ。地に足をつけるのが先決。今シーズンも15点は取ってほしいね。
 
ハーディ　マインツのような中位チームで15点を奪うなんて特別表彰ものだよ。岡崎はマインツでさらに力を伸ばしたほうがいい。もしもリバプールに行けたとしても、ターンオーバー要員に甘んじたら、まるでサッカーを楽しめなくなると思うな。

――ハノーファーに移籍した清武はどうかな。ドイツで３シーズン目を迎える。
 
ハーディ　昨シーズンは、最悪のチーム状態に引っ張られて最悪のパフォーマンスに終始した。ワールドカップでも存在感は希薄。早く新たな居場所を見つけないとね。ハノーファーの新チームメイトはいい刺激を与えてくれるはずだ。酒井宏樹がいることもプラスに働くだろう。
 
マルティン　昨シーズンの清武は、日本人選手の「ガッカリ大賞」だ。期待が大きかったし、能力の高さも感じさせてくれていただけにね。彼こそまさにチームを引っ張っていくべき存在だったのに、結局なにももたらせなかった。その失望を取り払うぐらい発奮してほしいな。
 
――フランクフルトは長谷部と乾、ハノーファーは酒井（宏樹）と清武、ヘルタは細貝と原口、ケルンは大迫と長澤、それぞれふたりの日本人と契約している。クラブの思惑は？
 
マルティン　ピッチ外のことまで考慮しているようだ。人によるだろうけど、チームから一歩離れた時に同じ言葉で寛ぐことができれば、それだけでかなり緊張から解放される。そう考えると、たしかに宇佐美はそのあたりで困難を抱えていたようだった。
 
ハーディ　日本人にとって、言葉の問題は大きい。長谷部は誰とでもドイツ語である程度会話できているけど、乾はこっちに長く住んでいる割にまだ会話に苦労している感じを受ける。長谷部が同僚になれば乾のコミュニケーション的な孤独は改善されるはず。長谷部からドイツ語を習ったらいいよ。シュツットガルトの酒井高徳も母親がドイツ人とあって、飲み込みが驚くほど早い。
 
マルティン　本来はドイツ語で仲間とやりとりを重ねて、リラックスするのが理想だけどね。