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W杯 日本代表の攻撃はなぜ機能しなかったのか――ザッケローニに師事した現役イタリア人監督が検証

カテゴリ:日本代表

ロベルト・ロッシ

2014年06月27日

コンビネーションからシュートを狙う場面がほとんどなかった大久保。

積極的にゴールに向かった大久保だが、チャンスを決めきれず。周囲との息もいまひとつ合っていなかった。 (C) SOCCER DIGEST

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 これまで日本の攻撃を実質的に担ってきた2列目の3人がそれぞれ低調だったことに加えて、もうひとつ指摘せざるを得ないのは、攻撃をフィニッシュする高い得点力を備えたセンターフォワードの不在だ。
 
 限られたシュートチャンスをゴールに結びつけられるコートジボワールのウィルフリード・ボニやコロンビアのジャクソン・マルティネスのようなFWがもしいれば、日本の攻撃力は現在のそれとはまったく違う水準にあっただろう。
 
 今大会で起用されたなかでは大久保嘉人が最もゴールに向かう意識が高かったが、独力でフィニッシュを狙おうとする傾向が強く、本田や香川とのコンビネーションからシュートを狙う場面はほとんどなかった。
 
 そしてそれ以上に、決定的なチャンスを得たにもかかわらず、それをゴールに結びつけることができなかった。ワールドカップのようにシビアな勝負では、それを決められるかどうかが絶対的な差になる。
 
 日本では、どうしてもっとフィジカル的に頑強なタイプのセンターフォワードを招集しなかったのか、という声も出ているようだが、アルベルト・ザッケローニ監督が招集しなかったとすれば、それはワールドカップの舞台で通用するだけの絶対的なクオリティーを備えていないと判断したからだろう。
 
 率直に言わせていただくと、Jリーグの得点王が大久保だったとすれば、そしてこれまで代表に招集された唯一と言っていい大型センターフォワードがハーフナー・マイクだったとすれば、国内でプレーしている他のFWの絶対的なクオリティーは推測がつく。
 
 大迫勇也、柿谷曜一朗という若手2人が、ピッチ上で存在感を発揮できずに終わった事実を見てもそうだ。ワールドカップという極限的なプレッシャーに晒される環境で持てる力を発揮するためには、技術・戦術的なクオリティー以上にパーソナリティー、すなわちメンタル的なそれが必要だ。
 
 彼らはその点でまだ準備ができていなかったように思う。ザッケローニ監督が、清武弘嗣、齋藤学、柿谷といった若手に頼らず香川や岡崎に命運を託したのも、同じ理由からだと思う。
 
 改めて整理すると、日本の攻撃陣の不調は、香川、本田、岡崎の誰ひとりとして良好なコンディションで大会に臨めなかったこと、そして彼らを除けば国際舞台で通用するクオリティーを備えたアタッカーが(少なくとも現時点で)いなかったこと、この2点が理由だということになる。
 
分析:ロベルト・ロッシ
構成:片野道郎
 
【ロベルト・ロッシ】
1962年3月16日生まれのイタリア人監督。現役時代はMFで、元イタリア代表監督のアリーゴ・サッキや前日本代表監督のアルベルト・ザッケローニに師事。99年に引退し、01-08年はインテルなどでザッケローニのスタッフ(コーチ兼スカウト)。その後は下部リーグで監督を務め、現在はLP2(4部)のフォルリを率いる。

日本対コートジボワール【PHOTOギャラリー】
 
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