ワールドサッカーダイジェスト編集長によるブラジル・ワールドカップ直前展望

カテゴリ:ワールド

ワールドサッカーダイジェスト編集部

2014年06月12日

日本の命運はコートジボワール戦での結果が握るだろう。

センターフォワードとセンターバックがしっかり仕事を果たすことが、日本のグループリーグ突破の必須条件だ。写真は大迫勇也(右)と吉田麻也。 (C) Getty Images

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◆戦術について
 
 ポゼッション重視のパスサッカーがバルセロナから世界中の代表チームに波及し、いまやあのイタリア代表までがそれを採用している。おそらく、その流れは今大会を終えた後でも変わらないだろう。仮に、守備を徹底したカウンターサッカーのウルグアイが覇権を握ったとしても、だ。
 
 ただ、守備的スタイル採るチームは決して少なくはなく、ポルトガルも大事なところではカウンターで結果を残している。ブラジルも状況に応じて、カウンターでゴールを奪うことは可能だ。ローリスクハイリターンを追求すれば、当然、守備重視となるからだ。そのなかでも特別なのがコスタリカで、なんと5バックを採用している。
 
 イタリアは4バックにも3バックにも適応できるし、チームとしての戦術理解度が高い。
 
 パスサッカーの熟成が今後も続くのは間違いないが、今後はより狭い場所でより速く、精度の高いプレーが求められる。今大会で、いち早くそのレベルに辿りつくのは、果たしてどのチームだろうか。
 
 
◆日本代表について
 
 コートジボワール戦の結果がすべてだろう。土壇場で守備固めに走ったことが奏功して大崩することのなかった前回とは違い、ここまでアルベルト・ザッケローニ監督の下で日本はしっかり攻撃のコンセプトを持ってやってきているが、そのぶん、逆に惨敗もありうる。初戦を落とすと、そのままズルズルといってしまうかもしれない。
 
 というのも、2戦目のギリシャの守備が極めて固く、点を奪うのは難しい。日本はポテンシャルが高く、良いサッカーをしていると思うが、今回もやはりセンターフォワードの人材に苦しんでいる。ワールドカップのような短期決戦では、点を取る選手(センターフォワード)と点を取らせない選手(センターバック)が何より大事で、そこに不安を抱えていると勝利の確率は下がってしまう。
 
 コロンビアに関しては改めて言うまでもなく、ファルカオを欠いても攻撃力は抜群だ。守備に穴があるとはいえ、この試合までグループリーグ突破の決定を持ち込むのは絶対に避けたい。
 
 コートジボワール戦に話を戻すと、話題になっているトゥーレ・ヤヤが出場するか否かで、状況はまったく違ってくる。中央を強引にこじ開けてきて、精度の高いシュートを積極的に放ってくる、日本が最も苦手とするタイプの選手だからだ。守備に関しては、さほど堅くないので、攻略の余地は十分にあるだろう。
 
 日本は前回同様にベスト16へ進めば、十分に合格点を与えられる。
 
 
◆大会に期待すること
 
 サッカー界の商業主義が強まり、選手が我々にとって身近な存在ではなくなり、すべてが金で決まるようになってしまった現在だからこそ、ブラジルというサッカーの象徴的な存在が素晴らしいサッカーで立ちはだかる敵をなぎ倒していくという、王動とも言えるストーリーを期待している。主役であるブラジルに、大会を面白くしてもらいたい。まあ、主役があっさり敗れ去るのも、サッカー界ではよくあるストーリーなのだが……。
 
 ただその一方で、すべてが順当にいってほしくはないという思いもある。ボスニア・ヘルツェゴビナのような初出場の新興国が勝ち上がることは、大会にサプライズという面白味や活気を与える。スペインやドイツのような欧州の強豪に、格下のチームがジャイアントキリングを起こすような展開にも期待している。
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