ブラジルが今大会で唯一の主役であるのは間違いない。
本日、ついに開幕するブラジル・ワールドカップ。7月13日の決勝まで、64の熱い戦いが繰り広げられる。
開戦を目前にした今、ここでワールドサッカーダイジェストの手嶋真彦編集長の視点を通して、改めて今大会の戦いの構図を知るとともに、興味の焦点を確認しておきたい。
◆優勝候補は?
開催国ブラジルがダントツの優勝候補。本命感は大会が近づくにつれて、ますます高まっている。
確定要素で見れば、まず南米開催であるということ。しかもブラジルは開催国なのだから、そのアドバンテージは計り知れない。地の利は間違いなくある。ホームでのブラジルは、勢いに乗ったら本当に強い。そして、監督が経験豊富で勝利の味を知っているフェリペ・ルイス・スコラーリであることも、大きな意味を持っている。
戦力については、不確定要素に含まれる部分だが、ここでもブラジルには怪我人もなく、ここまで順調に調整が進んでいる。他のライバルが多くの怪我人を抱えたり、メンバーから外れたりしているのとは対照的だ。ブラジルは、常に高い戦力値を維持することができている。
組分けや日程の面でも、ブラジルは恵まれた。まず、初戦でクロアチアと対戦するのは好都合だろう。メキシコやカメルーンに比べれば、欧州のクロアチアは気候でも時差でも一番苦しみそうであり、何より実力の差も明らかだ。ここで順当に勝って良いスタートを切れば、そのまま勢いを持って突き進んでいくのではないだろうか。
決勝トーナメント以降の日程を見ると、ブラジルは1位通過ならベスト16→準々決勝→準決勝→決勝のそれぞれの間隔が中5日、3日、4日となり、2位通過でも5日、3日、3日となる。他のグループだと、最も短かいところで中3日、3日、3日。短期決戦において、この差は非常に大きい。
◆対抗馬は?
ここでひとつ理想のシナリオと言わせていただくと、ブラジルがグループリーグを1位通過するとして、決勝でアルゼンチン、準々決勝でウルグアイ、決勝トーナメント1回戦でスペインと対戦するというものだ。この場合、スペインはグループ2位通過になるわけで、それは波乱となるが……。準決勝はドイツとの対峙が有力か。
コンフェデレーションズカップ決勝でのリベンジを狙う世界王者スペイン、50年大会決勝での因縁の相手であるウルグアイ、そして最大のライバルであるアルゼンチン。これら最高の敵と次々に対戦していくことが、大会としても最高だろう。実際、これらの国がブラジルにとって最大の障壁となることは間違いない。
アルゼンチンは組分けにも恵まれ、決勝トーナメント進出は確実。ベスト4に進む可能性も十分にある。圧倒的な陣容を誇る攻撃とは対照的に、守備には不安要素が多いが、GKのセルヒオ・ロメロは悪くない。波に乗れば怖いチームだ。アルゼンチンの場合、移動距離が他に比べて短くて済むというアドバンテージがある。気候もそれほど変わらないので、体調やコンディションを崩す恐れが少ないのは大きい。
ウルグアイも侮れないチーム。陣容は4年前とさほど変わっていないが、徹底したカウンターは現在のパスサッカー全盛のなかでは異質の存在であり、その戦術は熟成を極めてきている。
ただ、この2国と比べても、やはりブラジルの優位は動かない。ブラジルはネイマールに注目が集まっているが、仮にネイマールがいなくても優勝できるだけの総合力を擁している。むしろ、依存度ということではチアゴ・シウバは絶対に不可欠な存在だ。グスタボら守備の上手い選手はいるものの、チアゴ・シウバは代役の利かない選手であり、怪我や出場停止だけは避けたい。現在はトロントでプレーするGKジュリオ・セーザルにも不安があるだけに、やはりチアゴ・シウバにかかる比重は大きくなるだろう。
今回のブラジルについて、ワールドカップ出場経験のある選手が少ないことを懸念する声がある。実際に戦いのなかで、その不安が顔を出す場面もあるかもしれないが、ここでスコラーリ監督の経験が活きてくる。悪い流れを変える術を、この名将は知っているのだ。それゆえに、予想外のアクシデントでも起こらない限り、現在のブラジルに早期敗退するような材料は見つからない。
開戦を目前にした今、ここでワールドサッカーダイジェストの手嶋真彦編集長の視点を通して、改めて今大会の戦いの構図を知るとともに、興味の焦点を確認しておきたい。
◆優勝候補は?
開催国ブラジルがダントツの優勝候補。本命感は大会が近づくにつれて、ますます高まっている。
確定要素で見れば、まず南米開催であるということ。しかもブラジルは開催国なのだから、そのアドバンテージは計り知れない。地の利は間違いなくある。ホームでのブラジルは、勢いに乗ったら本当に強い。そして、監督が経験豊富で勝利の味を知っているフェリペ・ルイス・スコラーリであることも、大きな意味を持っている。
戦力については、不確定要素に含まれる部分だが、ここでもブラジルには怪我人もなく、ここまで順調に調整が進んでいる。他のライバルが多くの怪我人を抱えたり、メンバーから外れたりしているのとは対照的だ。ブラジルは、常に高い戦力値を維持することができている。
組分けや日程の面でも、ブラジルは恵まれた。まず、初戦でクロアチアと対戦するのは好都合だろう。メキシコやカメルーンに比べれば、欧州のクロアチアは気候でも時差でも一番苦しみそうであり、何より実力の差も明らかだ。ここで順当に勝って良いスタートを切れば、そのまま勢いを持って突き進んでいくのではないだろうか。
決勝トーナメント以降の日程を見ると、ブラジルは1位通過ならベスト16→準々決勝→準決勝→決勝のそれぞれの間隔が中5日、3日、4日となり、2位通過でも5日、3日、3日となる。他のグループだと、最も短かいところで中3日、3日、3日。短期決戦において、この差は非常に大きい。
◆対抗馬は?
ここでひとつ理想のシナリオと言わせていただくと、ブラジルがグループリーグを1位通過するとして、決勝でアルゼンチン、準々決勝でウルグアイ、決勝トーナメント1回戦でスペインと対戦するというものだ。この場合、スペインはグループ2位通過になるわけで、それは波乱となるが……。準決勝はドイツとの対峙が有力か。
コンフェデレーションズカップ決勝でのリベンジを狙う世界王者スペイン、50年大会決勝での因縁の相手であるウルグアイ、そして最大のライバルであるアルゼンチン。これら最高の敵と次々に対戦していくことが、大会としても最高だろう。実際、これらの国がブラジルにとって最大の障壁となることは間違いない。
アルゼンチンは組分けにも恵まれ、決勝トーナメント進出は確実。ベスト4に進む可能性も十分にある。圧倒的な陣容を誇る攻撃とは対照的に、守備には不安要素が多いが、GKのセルヒオ・ロメロは悪くない。波に乗れば怖いチームだ。アルゼンチンの場合、移動距離が他に比べて短くて済むというアドバンテージがある。気候もそれほど変わらないので、体調やコンディションを崩す恐れが少ないのは大きい。
ウルグアイも侮れないチーム。陣容は4年前とさほど変わっていないが、徹底したカウンターは現在のパスサッカー全盛のなかでは異質の存在であり、その戦術は熟成を極めてきている。
ただ、この2国と比べても、やはりブラジルの優位は動かない。ブラジルはネイマールに注目が集まっているが、仮にネイマールがいなくても優勝できるだけの総合力を擁している。むしろ、依存度ということではチアゴ・シウバは絶対に不可欠な存在だ。グスタボら守備の上手い選手はいるものの、チアゴ・シウバは代役の利かない選手であり、怪我や出場停止だけは避けたい。現在はトロントでプレーするGKジュリオ・セーザルにも不安があるだけに、やはりチアゴ・シウバにかかる比重は大きくなるだろう。
今回のブラジルについて、ワールドカップ出場経験のある選手が少ないことを懸念する声がある。実際に戦いのなかで、その不安が顔を出す場面もあるかもしれないが、ここでスコラーリ監督の経験が活きてくる。悪い流れを変える術を、この名将は知っているのだ。それゆえに、予想外のアクシデントでも起こらない限り、現在のブラジルに早期敗退するような材料は見つからない。