【今日は何の日?】6月12日「初めて日本人がW杯で主審を務めた日」

カテゴリ:ワールド

サッカーダイジェストWeb編集部

2014年06月12日

ここから始まった歴史。そして今大会では大きな栄誉が。

86年大会、90年大会ともに、主審を務めた試合では高い評価を得た高田氏。 (C) SOCCER DIGEST

画像を見る

 今大会で20回目を迎えたワールドカップ。これまで80年余りの歴史において、数えきれないほどのドラマを創り上げてきた。
 
 6月12日の開幕から約1か月にわたり、日々、地球の裏側で展開される熱い戦いに魅了されながら、同時にこの祭典の長い歴史にも関心を寄せてみてはいかがだろうか。
 
 これから、ワールドカップ期間中、その日、過去のワールドカップで何が起こったかをピックアップして紹介していく。
 
――◆――◆――
 
 1986年6月12日、メキシコ・モンテレイ。テクノロヒコ・スタジアムで行なわれたグループリーグのスペイン対アルジェリア戦で、両チームの選手を引き連れてピッチに登場する黒服の日本人の姿があった。
 
 まだ、ワールドカップの大舞台に日本代表が立つのは夢の話だった時代に、いち早く世界の祭典に参加したのは高田静夫氏(当時38歳)。日本人として、初めてワールドカップで主審を務めた男である。
 
 同じくメキシコで開催された1970年の大会で、丸山義行氏がペルー対ブルガリア戦のラインズマンを務めたことはあったが、この時は主審の大役を担うことはなかった。
 
 84年に国際審判員となった高田氏は、メキシコでは「モクテスマの復讐」と呼ばれる下痢に悩まされながらも、グループリーグのフランス対ソ連戦、ポルトガル対ポーランド戦でラインズマンを経験し、記念すべき主審としての一戦を迎えた。
 
 決勝トーナメント進出を賭けたグループリーグ最終戦という重要な試合は白熱した展開となり、悪質なプレーに二度、イエローカード(当時としてはかなり多いほうだった)を出したり、アルジェリアのGKが負傷で倒れるアクシデントなどがありながら、高田氏は毅然とした態度で試合をスムーズに進めた。
 
 試合後は両チームの選手から握手を求められ、ようやく高田氏の硬かった表情から笑みがこぼれた。
 
「大仕事を終えて、とにかくホッとしました。(世界のサッカーについては)プレーのスピードや当たりの激しさが日本とはまるで違いましたが、プレーが途切れず、審判としてはやりやすかったです」
 
 新たな歴史を刻んだ高田氏は、その後、国内外での試合で笛を吹き続けながら、4年後のイタリア大会でも主審とラインズマンを務めた。そして、間もなく劇的な変化を迎えた日本サッカー界で、協会審判委員長の要職に就き、審判の技術向上を図りながら、後進の育成にも貢献している。
 
 その後、ワールドカップでは、98年フランス大会で岡田正義氏、2002年日韓大会と06年ドイツ大会で上川徹氏と廣嶋禎数氏、そして10年南アフリカ大会では西村雄一氏と相楽亨氏が、日本代表とともにピッチに立ってきた。
 
 そして迎えるブラジル大会では、西村氏と相楽氏に名木利幸氏を加えた3名が選出され、開幕戦ブラジル対クロアチアのジャッジを担当するという栄誉を授かった。98年大会以降、着実に進歩を遂げている日本代表とともに、審判もまた確固たる地位を、世界の舞台で確立しつつある。
 
――◆――◆――
 
 このほか、86年にはブラジル対北アイルランド戦で同大会初出場のジーコが素晴らしいヒールでのアシストを披露したり、98年大会では開催国フランスが初戦で南アフリカ相手に3-0と好発進。逆に02年大会では、優勝候補のアルゼンチンがスウェーデンと引き分けてグループリーグ敗退が決まり、06年大会にはグループリーグ初戦の日本対オーストラリア戦で残り6分から逆転を許すという日本にとっての悪夢のような試合が、この6月12日に行なわれた。
 
 
◆6月12日に行なわれた過去のW杯の試合
 
1938年フランス大会
「準々決勝」
スイス 0‐2 ハンガリー
スウェーデン 8‐0 キューバ
フランス 1‐3 イタリア
ブラジル 1(延長)1 チェコスロバキア(※)
※2日後に再試合
 
1958年スウェーデン大会
「グループリーグ」
スウェーデン 2‐1 ハンガリー
 
1986年メキシコ大会
「グループリーグ」
ブラジル 3‐0 北アイルランド
スペイン 3‐0 アルジェリア
 
1990年イタリア大会
「グループリーグ」
ベルギー 2‐0 韓国
オランダ 1‐1 エジプト
 
1998年フランス大会
「グループリーグ」
サウジアラビア 0‐1 デンマーク
フランス 3‐0 南アフリカ
パラグアイ 0‐0 ブルガリア
 
2002年日韓大会
「グループリーグ」
南アフリカ 2‐3 スペイン
スロベニア 1‐3 パラグアイ
スウェーデン 1‐1 アルゼンチン
ナイジェリア 0‐0 イングランド
 
2006年ドイツ大会
「グループリーグ」
アメリカ 0‐3 チェコ
イタリア 2‐0 ガーナ
オーストラリア 3-1 日本
 
2010年南アフリカ大会
「グループリーグ」
韓国 2‐0 ギリシャ
アルゼンチン 1‐0 ナイジェリア
イングランド 1‐1 アメリカ

大舞台での実績も十分な西村氏(中央)を中心とした日本人トリオが、開幕戦をどう演出するかが興味深い。 (C) Getty Images

画像を見る

【関連記事】
ブラジルW杯 列強国の開幕直前ポイントチェック|フランス編
ブラジルW杯 列強国の開幕直前ポイントチェック|ブラジル編
ブラジルW杯 列強国の開幕直前ポイントチェック|イタリア編
【日本代表W杯の軌跡】勝利を呼び込んだ決断|2010年南アフリカ大会・デンマーク戦
【日本代表W杯の軌跡】自信となった“日本の時間帯”|2010年南アフリカ大会・オランダ戦
【日本代表W杯の軌跡】魂を震わす会心の勝利|2010年南アフリカ大会・カメルーン戦

サッカーダイジェストTV

詳細を見る

 動画をもっと見る

Facebookでコメント

サッカーダイジェストの最新号

  • 週刊サッカーダイジェスト 唯一無二の決定版!
    2月15日発売
    2024 J1&J2&J3
    選手名鑑
    60クラブを完全網羅!
    データ満載のNo.1名鑑
    詳細はこちら

  • 週刊サッカーダイジェスト いざW杯予選へ!
    3月8日発売
    元代表戦士、識者らと考える
    日本代表の現在地と未来
    2026年へのポイントは?
    J1&J2全クラブ戦力値チェックも
    詳細はこちら

  • ワールドサッカーダイジェスト 夏の移籍を先取り調査!
    3月21日発売
    大シャッフルの予感
    SUMMER TRANSFER
    夏の移籍丸わかり
    完全攻略本2024
    詳細はこちら

  • 高校サッカーダイジェスト 高校サッカーダイジェストVo.40
    1月12日発売
    第102回全国高校選手権
    決戦速報号
    青森山田が4度目V
    全47試合を完全レポート
    詳細はこちら

>>広告掲載のお問合せ

ページトップへ