「一難去ってまた一難」。あと1か月、公式戦のピッチに立つには、まだ越えなければいけない壁が――。
そして、残す時間はあと1か月――。石川がプロサッカー選手としてのキャリアのラストを飾ろうとしている。9月に小平練習場を訪れた際、まだ別メニューの続いている彼は、自身のコンディションについて「一難去ってまた一難。なかなか上手くいかないなって(苦笑)」と複雑な胸のうちを語っていた。
「良くなってきたら、また(痛みなどが)出てきて『なんでだろう……』って。その繰り返し。目処がなかなかつかないけれど、最後には間に合わせたい」
ピッチに立つには、まだいくつもの壁を越えなければいけない状態だった。
「自分の納得のいくパフォーマンスでなければ、試合には出られない。膝の状態が良くなったとしても、J3の復帰(16年9月9日秋田戦)から1年が経ち、果たして自分自身しっかり納得できるのか。まず自分が納得できなければ、観る人も納得してくれない。でなければ試合には出られない。しっかり試行錯誤しながら、とことんやりたい」
まず、納得いくように、力を出し切れるコンディションにする。それができなければ、ピッチに立つ資格はない。石川はそんな覚悟とともに日々の練習に打ち込んでいる。
「まずJ1のピッチに立って、ゴールに絡む。それを目標にしています。あとJ1最終節の翌日に(12月3日)、FC東京U-23はC大阪U-23戦を残している。(C大阪の)モニにはできれば前日のJ1の試合に出てほしい。ただ、その最後のU-23の試合で一緒のピッチに立って対戦できたら……きっとそれはそれで嬉しいでしょうね(笑)」
(※編集部注:J3のU-23チームにはオーバーエイジ3枠が設けられている)
石川の内面で渦巻くあらゆる葛藤を思い図ることは、誰にもできない。とはいえ、彼のヘコみかけた心を突き上げてきた衝動は、いたってシンプルだったのかもしれない。待つ人がいる場所へ向かう――。ただ、それだけだ。
12月3日、FC東京U-23が戦う会場はホームの駒沢競技場。2002年4月27日のナビスコカップ(現・ルヴァンカップ)清水戦、石川がFC東京に移籍してきて最初に立ったピッチだ。
「今もそうだけれど、支えてくれる人がいてくれる。僕はこれまで、いろいろチャレンジすることで、ひとの心を動かせることを感じてきた。一方で、みんなのサポートが僕の心を動かしてきた。そういう関係を、またピッチの上で示したい」
石川はそのように、自分を支えてきてくれた人たちへの感謝を惜しまない。
どんな相手でも怯まず勇敢に挑む。時には勝ち、時には負け……人々をまだ見ぬ世界へと誘う。そんな限界を越えていこうとするプレースタイルが、多くの人の心を捉えてきた。
今、石川は自分自身と戦っている。その先にある、みんなが待つピッチに立つために――。最後に、もう一度、突き抜けろ!
取材・文:塚越 始
「良くなってきたら、また(痛みなどが)出てきて『なんでだろう……』って。その繰り返し。目処がなかなかつかないけれど、最後には間に合わせたい」
ピッチに立つには、まだいくつもの壁を越えなければいけない状態だった。
「自分の納得のいくパフォーマンスでなければ、試合には出られない。膝の状態が良くなったとしても、J3の復帰(16年9月9日秋田戦)から1年が経ち、果たして自分自身しっかり納得できるのか。まず自分が納得できなければ、観る人も納得してくれない。でなければ試合には出られない。しっかり試行錯誤しながら、とことんやりたい」
まず、納得いくように、力を出し切れるコンディションにする。それができなければ、ピッチに立つ資格はない。石川はそんな覚悟とともに日々の練習に打ち込んでいる。
「まずJ1のピッチに立って、ゴールに絡む。それを目標にしています。あとJ1最終節の翌日に(12月3日)、FC東京U-23はC大阪U-23戦を残している。(C大阪の)モニにはできれば前日のJ1の試合に出てほしい。ただ、その最後のU-23の試合で一緒のピッチに立って対戦できたら……きっとそれはそれで嬉しいでしょうね(笑)」
(※編集部注:J3のU-23チームにはオーバーエイジ3枠が設けられている)
石川の内面で渦巻くあらゆる葛藤を思い図ることは、誰にもできない。とはいえ、彼のヘコみかけた心を突き上げてきた衝動は、いたってシンプルだったのかもしれない。待つ人がいる場所へ向かう――。ただ、それだけだ。
12月3日、FC東京U-23が戦う会場はホームの駒沢競技場。2002年4月27日のナビスコカップ(現・ルヴァンカップ)清水戦、石川がFC東京に移籍してきて最初に立ったピッチだ。
「今もそうだけれど、支えてくれる人がいてくれる。僕はこれまで、いろいろチャレンジすることで、ひとの心を動かせることを感じてきた。一方で、みんなのサポートが僕の心を動かしてきた。そういう関係を、またピッチの上で示したい」
石川はそのように、自分を支えてきてくれた人たちへの感謝を惜しまない。
どんな相手でも怯まず勇敢に挑む。時には勝ち、時には負け……人々をまだ見ぬ世界へと誘う。そんな限界を越えていこうとするプレースタイルが、多くの人の心を捉えてきた。
今、石川は自分自身と戦っている。その先にある、みんなが待つピッチに立つために――。最後に、もう一度、突き抜けろ!
取材・文:塚越 始