キャリアのラストを迎える石川直宏――最後にもう一度、突き抜けろ!

カテゴリ:Jリーグ

塚越 始(サッカーダイジェスト)

2017年11月01日

「一難去ってまた一難」。あと1か月、公式戦のピッチに立つには、まだ越えなければいけない壁が――。

現役生活はあと1か月。石川は葛藤を続けながら、ピッチに立つ日を目指す。写真:山崎賢人(サッカーダイジェスト写真部)

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 そして、残す時間はあと1か月――。石川がプロサッカー選手としてのキャリアのラストを飾ろうとしている。9月に小平練習場を訪れた際、まだ別メニューの続いている彼は、自身のコンディションについて「一難去ってまた一難。なかなか上手くいかないなって(苦笑)」と複雑な胸のうちを語っていた。
 
「良くなってきたら、また(痛みなどが)出てきて『なんでだろう……』って。その繰り返し。目処がなかなかつかないけれど、最後には間に合わせたい」
 
 ピッチに立つには、まだいくつもの壁を越えなければいけない状態だった。
 
「自分の納得のいくパフォーマンスでなければ、試合には出られない。膝の状態が良くなったとしても、J3の復帰(16年9月9日秋田戦)から1年が経ち、果たして自分自身しっかり納得できるのか。まず自分が納得できなければ、観る人も納得してくれない。でなければ試合には出られない。しっかり試行錯誤しながら、とことんやりたい」
 
 まず、納得いくように、力を出し切れるコンディションにする。それができなければ、ピッチに立つ資格はない。石川はそんな覚悟とともに日々の練習に打ち込んでいる。
 
「まずJ1のピッチに立って、ゴールに絡む。それを目標にしています。あとJ1最終節の翌日に(12月3日)、FC東京U-23はC大阪U-23戦を残している。(C大阪の)モニにはできれば前日のJ1の試合に出てほしい。ただ、その最後のU-23の試合で一緒のピッチに立って対戦できたら……きっとそれはそれで嬉しいでしょうね(笑)」
(※編集部注:J3のU-23チームにはオーバーエイジ3枠が設けられている)
 
 石川の内面で渦巻くあらゆる葛藤を思い図ることは、誰にもできない。とはいえ、彼のヘコみかけた心を突き上げてきた衝動は、いたってシンプルだったのかもしれない。待つ人がいる場所へ向かう――。ただ、それだけだ。
 
 12月3日、FC東京U-23が戦う会場はホームの駒沢競技場。2002年4月27日のナビスコカップ(現・ルヴァンカップ)清水戦、石川がFC東京に移籍してきて最初に立ったピッチだ。
 
「今もそうだけれど、支えてくれる人がいてくれる。僕はこれまで、いろいろチャレンジすることで、ひとの心を動かせることを感じてきた。一方で、みんなのサポートが僕の心を動かしてきた。そういう関係を、またピッチの上で示したい」
 
 石川はそのように、自分を支えてきてくれた人たちへの感謝を惜しまない。
 
 どんな相手でも怯まず勇敢に挑む。時には勝ち、時には負け……人々をまだ見ぬ世界へと誘う。そんな限界を越えていこうとするプレースタイルが、多くの人の心を捉えてきた。
 
 今、石川は自分自身と戦っている。その先にある、みんなが待つピッチに立つために――。最後に、もう一度、突き抜けろ!
 
取材・文:塚越 始
 
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