本人が前向きのイタリア代表復帰はやはり厳しい。
3-5-1-1というシステムの性格からすれば(スナイデルのようなパサーがトップ下にいればなおさら)、CFは最前線で裏のスペースを狙う動きに重点を置き、中盤まで下がる動きは後方からの走り込みに連携してスペースを作る場合に絞るべきところ。そうした連携なしに下がってきても、ゴール前の危険なゾーンを使う味方が誰もおらず、攻撃はフィニッシュに繋がらないまま行き詰まってしまう。
前半半ばから試合終了までのおよそ1時間のバロテッリは、我々が良く知っている「いつものバロテッリ」以上ではなかった。
高い個人能力を持つがゆえに、常にそれに頼って自己中心的にプレーするばかりで、周囲と連携しながらチームのメカニズムの中でプレーするという戦術感覚を磨くどころか、身に付けることすらしてこなかったというのは、もう何年も前から指摘されてきたバロテッリの限界である。
現代サッカーにおいてはCFにも、90分間に渡り高い集中力を保ち続け、攻守両局面で常に組織的なメカニズムの中で機能し続けることが要求されている。それを免除されているのは、クリスチアーノ・ロナウドとリオネル・メッシくらいのものだ。
フィジカルコンディションが良好で、かつ回りにうまくお膳立てしてもらえるならば、それなりの成績(シーズン10~15ゴール)は残すことができる。ミランでの最初の2シーズンがそうだったし、おそらくニースでの1年目も同じだろう。
しかし、今のままではそこから先に進むことは不可能に近い。ラツィオ戦後には代表FWのチーロ・インモービレと抱擁する動画を「イタリア」、「絶対ないということはない」というハッシュタグとともにインスタグラムに投稿するなど本人は前向きだが、イタリア代表に呼び戻される可能性もかなり低いだろう。残念ながら、今もバロテッリはバロテッリのままなのだ。
文:片野道郎
【著者プロフィール】
1962年生まれ、宮城県仙台市出身。1995年からイタリア北部のアレッサンドリアに在住し、翻訳家兼ジャーナリストとして精力的に活動中だ。カルチョを文化として捉え、その営みを巡ってのフィールドワークを継続発展させている。『ワールドサッカーダイジェスト』誌では現役監督とのコラボレーションによる戦術解説や選手分析が好評を博す。ジョバンニ・ビオ氏との共著『元ACミラン専門コーチのセットプレー最先端理論』が2017年2月に刊行された。
前半半ばから試合終了までのおよそ1時間のバロテッリは、我々が良く知っている「いつものバロテッリ」以上ではなかった。
高い個人能力を持つがゆえに、常にそれに頼って自己中心的にプレーするばかりで、周囲と連携しながらチームのメカニズムの中でプレーするという戦術感覚を磨くどころか、身に付けることすらしてこなかったというのは、もう何年も前から指摘されてきたバロテッリの限界である。
現代サッカーにおいてはCFにも、90分間に渡り高い集中力を保ち続け、攻守両局面で常に組織的なメカニズムの中で機能し続けることが要求されている。それを免除されているのは、クリスチアーノ・ロナウドとリオネル・メッシくらいのものだ。
フィジカルコンディションが良好で、かつ回りにうまくお膳立てしてもらえるならば、それなりの成績(シーズン10~15ゴール)は残すことができる。ミランでの最初の2シーズンがそうだったし、おそらくニースでの1年目も同じだろう。
しかし、今のままではそこから先に進むことは不可能に近い。ラツィオ戦後には代表FWのチーロ・インモービレと抱擁する動画を「イタリア」、「絶対ないということはない」というハッシュタグとともにインスタグラムに投稿するなど本人は前向きだが、イタリア代表に呼び戻される可能性もかなり低いだろう。残念ながら、今もバロテッリはバロテッリのままなのだ。
文:片野道郎
【著者プロフィール】
1962年生まれ、宮城県仙台市出身。1995年からイタリア北部のアレッサンドリアに在住し、翻訳家兼ジャーナリストとして精力的に活動中だ。カルチョを文化として捉え、その営みを巡ってのフィールドワークを継続発展させている。『ワールドサッカーダイジェスト』誌では現役監督とのコラボレーションによる戦術解説や選手分析が好評を博す。ジョバンニ・ビオ氏との共著『元ACミラン専門コーチのセットプレー最先端理論』が2017年2月に刊行された。