【コラム】バロテッリはバロテッリのまま…イタリア代表復帰は夢で終わるか

カテゴリ:ワールド

片野道郎

2017年10月20日

徐々に「いつもの悪い癖」に陥りはじめる…。

ラツィオ戦で決めたこの見事なヘディングシュートに象徴されるように、天与の才能に疑いの余地はない。しかし、戦術眼や継続性は依然として…。(C)Getty Images

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 さてこの試合、立ち上がりはその夢が現実に一歩近づきそうな予感を抱かせるものだった。開始3分過ぎ、ニースが左サイドから攻め込むと、3-5-1-1のトップ下に入ったヴェスレイ・スナイデルがペナルティーエリア左角から送り込んだクロスに、ニアサイドに入り込んだバロテッリが頭で合わせてゴールネットを揺らしたのだ。
 
 今から8年前の09-10シーズン、ジョゼ・モウリーニョの指揮下で「トリプレッタ」(スクデット、CL、コッパ・イタリアの3冠)を勝ち取ったインテル以来となる2人の競演がもたらした先制ゴールは、見る者の期待とノスタルジーを同時に膨らませた。
 
 しかしその高揚が続いたのは、ほんの1分あまりでしかなかった。ボールをセンターサークルに戻したラツィオが、キックオフでロングボールを前線に送り込み、それを空中戦では無敵のセルゲイ・ミリンコビッチ=サビッチがゴール前にフリック、そこに走り込んだフェリペ・カイセドが、GKとDFがお見合いするその間に割り込んで足を出し、ボールをゴールに流し込んだのだ。
 
 これで試合があっけなくふりだしに戻ると、その後は膠着した展開になる。バロテッリは最初の30分ほどは精力的にピッチを動き回り、敵2ライン(DFとMF)間に引いてボールに触っては動き直したり、時には裏のスペースに走り込む動きを見せた。以前の、走っているよりも歩いたり立っているだけの時間の方がずっと長いバロテッリを見慣れている目には、かなり新鮮に映ると同時に、覚醒への期待を募らせるプレーぶりだった。
 
 しかし、ポゼッションで後方から押し上げて攻撃を組み立てようとするニースに対し、ラツィオが効果的なミドルライン・プレッシングで中盤のラインを越えさせず、バロテッリが良い形でボールを持つ場面はほとんど作れない。
 
 そうしているうちに、段々と苛々してきたバロテッリは、ボールに触りたがって頻繁に中盤まで下がってくるようになり、そこから強引なドリブルや無理なパスでボールを失うという「いつもの悪い癖」に陥りはじめる。
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