今夏は国内外のビッグクラブが激しい争奪戦。
その後に動いたインテルは、向こう2年間はレンタルでそのままジェノバに留まって慣れ親しんだ環境で経験を積み重ね、2019-20シーズンから引き取るという条件に加えて、ジェノアが抱えるもうひとりの2001年生まれの宝石、FWエディ・サルセドも併せて同じ形で獲得するというオファーを提示し、6月末にプレツィオージ会長から合意を取り付けた。
金銭面の条件は、ペッレグリに1500万ユーロ、サルセドに500万ユーロ、計2000万ユーロの移籍金。さらに、それぞれについて向こう2年間の出場時間とゴールに応じて最大でペッレグリが1500万ユーロ、サルセドが2500万ユーロのボーナスが加わって、最大で計6000万ユーロ(約76億8000万円)に達するという、ティーンエージャーの取引とは思えない数字だった。
しかし結局、インテルがFFPの関連もあり、移籍収支がプラスにならないうちは新たな支出ができない状況にあったため、合意は取り付けたものの正式な移籍手続は先送りになった。
8月末になってそこに割り込んだのがユベントスとミラン。プレツィオージ会長が8月22日に「インテルとは合意しているが、手続きはまだスタンバイの状態だ。もし他のクラブからオファーがあれば検討する」とコメントしたのを受けて、ユーべがジェノアにアプローチしてインテルとほぼ同じ条件を提示すれば、ミランはペッレグリの代理人であるジュゼッペ・リーゾに接近する。
メルカートがクローズする間際には、一部のメディアが「ジェノアとユーべが合意」と報じれば、リーゾ代理人は「来年1月の移籍に向けてミランと話し合いの土台が固まった」とコメントするなど、渾沌とした状況の中で綱引きが続いている。
ペッレグリが決めた今回のドッピエッタは、そんな状況にさらに新たな燃料を注ぎ込むことになるのかもしれない。いずれも18歳のキリアン・エムバぺが1億8000万ユーロ(約230億円)で買われ、ジャンルイジ・ドンナルンマが7500万ユーロ(約96億円)の違約金を契約に織り込む時代である。もしかすると彼らに匹敵するレベルに育つかもしれないビッグタレントであるペッレグリに、最終的にはどれだけの値段が付くのか。見物である。
文:片野道郎
【著者プロフィール】
1962年生まれ、宮城県仙台市出身。1995年からイタリア北部のアレッサンドリアに在住し、翻訳家兼ジャーナリストとして精力的に活動中だ。カルチョを文化として捉え、その営みを巡ってのフィールドワークを継続発展させている。『ワールドサッカーダイジェスト』誌では現役監督とのコラボレーションによる戦術解説や選手分析が好評を博す。ジョバンニ・ビオ氏との共著『元ACミラン専門コーチのセットプレー最先端理論』が2017年2月に刊行された。
金銭面の条件は、ペッレグリに1500万ユーロ、サルセドに500万ユーロ、計2000万ユーロの移籍金。さらに、それぞれについて向こう2年間の出場時間とゴールに応じて最大でペッレグリが1500万ユーロ、サルセドが2500万ユーロのボーナスが加わって、最大で計6000万ユーロ(約76億8000万円)に達するという、ティーンエージャーの取引とは思えない数字だった。
しかし結局、インテルがFFPの関連もあり、移籍収支がプラスにならないうちは新たな支出ができない状況にあったため、合意は取り付けたものの正式な移籍手続は先送りになった。
8月末になってそこに割り込んだのがユベントスとミラン。プレツィオージ会長が8月22日に「インテルとは合意しているが、手続きはまだスタンバイの状態だ。もし他のクラブからオファーがあれば検討する」とコメントしたのを受けて、ユーべがジェノアにアプローチしてインテルとほぼ同じ条件を提示すれば、ミランはペッレグリの代理人であるジュゼッペ・リーゾに接近する。
メルカートがクローズする間際には、一部のメディアが「ジェノアとユーべが合意」と報じれば、リーゾ代理人は「来年1月の移籍に向けてミランと話し合いの土台が固まった」とコメントするなど、渾沌とした状況の中で綱引きが続いている。
ペッレグリが決めた今回のドッピエッタは、そんな状況にさらに新たな燃料を注ぎ込むことになるのかもしれない。いずれも18歳のキリアン・エムバぺが1億8000万ユーロ(約230億円)で買われ、ジャンルイジ・ドンナルンマが7500万ユーロ(約96億円)の違約金を契約に織り込む時代である。もしかすると彼らに匹敵するレベルに育つかもしれないビッグタレントであるペッレグリに、最終的にはどれだけの値段が付くのか。見物である。
文:片野道郎
【著者プロフィール】
1962年生まれ、宮城県仙台市出身。1995年からイタリア北部のアレッサンドリアに在住し、翻訳家兼ジャーナリストとして精力的に活動中だ。カルチョを文化として捉え、その営みを巡ってのフィールドワークを継続発展させている。『ワールドサッカーダイジェスト』誌では現役監督とのコラボレーションによる戦術解説や選手分析が好評を博す。ジョバンニ・ビオ氏との共著『元ACミラン専門コーチのセットプレー最先端理論』が2017年2月に刊行された。