【現地発】あのイタリア代表が「戦術的な時代錯誤」…監督の手腕が槍玉

カテゴリ:ワールド

片野道郎

2017年09月07日

トップレベルと戦うには戦術やチームスピリットが肝。

批判に晒されているヴェントゥーラ監督。これからチームを立て直せるか。(C)Getty Images

画像を見る

 ワールドカップ予選から指揮を執るヴェントゥーラ監督は就任直後、前任のアントニオ・コンテ(現チェルシー監督)から引き継いだ3-5-2を基本として戦い、今年の春からシステムを4-2-4に切り替えている。しかし、この2試合で改めて露呈したチームとしての欠点は、3-5-2で戦っていた昨秋の時点ですでに表れていたものだった。
 
【徹底分析】弱小マケドニアにも大苦戦…アッズーリ新監督の戦術は時代遅れ?
 
 ヨーロッパの最前線では、クラブレベルではもちろん代表レベルにおいても、ハイプレスによる即時奪回を狙ったゲーゲンプレッシング、そうでなくとも予め決めたゾーンまでボールが入ってきたところからはアグレッシブかつ組織的なプレッシングを発動するインテンシティーの高い戦い方が、もはやスタンダードになってきている。
 
 ドイツやスペインのような世界トップクラスのチームは、それをテクニカルなボールポゼッションと組み合わせ、常に主導権を握って敵陣で試合を進めるスタイルをすでに確立し、ほぼすべての相手に対して技術的にはもちろん戦術的にも優位に立って戦っている。
 
 ヴェントゥーラ監督のアッズーリは、そうした最先端のスタイルに対して耐性が低いだけでなく、技術的な不利をインテンシティーでカバーしようとするイスラエルのようなチームに対しても、弱点を露呈しているのが現状だ。
 
 つまりこれは、システムやフィジカルコンディション(これもエクスキューズのひとつに使われた)ではなく、指揮官が掲げるサッカーのコンセプト自体が、すでに乗り越えられて“時代遅れ”になっている可能性も否定できないということ。タレント力で見劣りするいまのイタリアが世界トップレベルと互角に戦うには、戦術やチームスピリットで相手を上回るしかないと、コンテ前監督が率いたEURO2016で実証されている。
 
 過去14回連続で得ているワールドカップ出場権はイタリアにとって“当たり前”以前の問題であると考えられているが、それを手に入れるためには、予選の残り2試合(アルバニア、リヒテンシュタイン)を経て、11月に行われるプレーオフを勝ち上がる必要がある。
 
 その相手がどこになるかはまだ不確定だが、北アイルランド、ボスニア・ヘルツェゴビナ、トルコ、アイスランド、スロバキアなど、簡単には勝たせてくれない中堅国が相手になりそうだ。はたしてヴェントゥーラ監督はそれまでに、戦術的なレベルで、あるいはさらに上位のコンセプトのレベルで、チームに何らかの修正を施すことができるだろうか。
 
文:片野道郎
 
【著者プロフィール】
1962年生まれ、宮城県仙台市出身。1995年からイタリア北部のアレッサンドリアに在住し、翻訳家兼ジャーナリストとして精力的に活動中だ。カルチョを文化として捉え、その営みを巡ってのフィールドワークを継続発展させている。『ワールドサッカーダイジェスト』誌では現役監督とのコラボレーションによる戦術解説や選手分析が好評を博す。ジョバンニ・ビオ氏との共著『元ACミラン専門コーチのセットプレー最先端理論』が2017年2月に刊行された。
【関連記事】
「ポゼッションは好まれない」「批判的すぎる」ブッフォンらがブーイングに不満
「妻が妊娠中に飲酒運転&浮気」のルーニー、離婚で慰謝料は50億円超?
「長友が残留できた理由はインテルと日本企業の提携」と伊メディアが推測
ボヌッチのセクシー妻が「トップレス写真」をスクープされる…
KAZUも背負ったエースの宿命――本田圭佑は「不要論」を打ち消せるか

サッカーダイジェストTV

詳細を見る

 動画をもっと見る

Facebookでコメント

サッカーダイジェストの最新号

  • 週刊サッカーダイジェスト 2026年1月号
    12月12日(金)発売
    [特集]
    9年ぶりのJリーグ制覇
    鹿島アントラーズ
    鬼木体制で果たした「王座への帰還」
    詳細はこちら

  • ワールドサッカーダイジェスト 2026年1月1日号
    12月18日(木)発売
    [特集]
    2026北中米ワールドカップ
    選手名鑑&出場国ガイド
    詳細はこちら

  • 高校サッカーダイジェスト 第104回大会 選手名鑑
    12月10日発売
    高校サッカーダイジェストVol.43
    第104回全国高校サッカー選手権大会
    選手権名鑑
    出場48チーム
    1440選手の顔写真&プロフィールを徹底網羅!
    詳細はこちら

>>広告掲載のお問合せ

ページトップへ