【黄金世代】第3回・小笠原満男「栄光の16冠、究極のアントラーズ愛」(♯4)

カテゴリ:特集

川原崇(サッカーダイジェストWeb編集部)

2017年07月04日

中田は、やっぱりこのクラブの象徴なのかなって思う。

ワールドユースから帰国した直後の同期4人組(左から曽ケ端、中田、小笠原、本山)。ミツオはコウジを「真のリーダーシップがある男」と称える。(C)J.LEAGUE PHOTOS

画像を見る

 鹿島のクラブハウスを訪れたのは、およそ8年ぶりだった。
 
 インタビュールームには過去の対戦相手のペナントやチーム歴代の集合写真が所狭しと張り巡らされ、クラブの重厚な足取りに圧倒される。建物すべてを覆う例えようのないパワー、自信と誇りがみなぎる選手たち、そして、小雨の中でもあしげく練習場に通い、声援を贈り続ける生粋のサポーター。なにもかもが変わっていなかった。

 そして、何度来ても思う。ここは、日本サッカーの宝なのだと。
 
 ジーコスピリット、そして鹿島イズムとは? 現チームにおいて、この男以外の誰に訊けばいいだろうか。
 
「俺らのロッカールームの入り口にさ、ジーコスピリッツと題して、3つの言葉が書いてあるの。献身、誠実、尊重。それがすべてを物語ってるんじゃないかな。チームのために戦う献身さ、素直に意見を言い合う誠実さ、お互いをリスペクトし合う尊重の心。チームはファミリーなんだってこと。いちいち言葉で語る必要はないし、試合で一生懸命やる姿勢を見せるだけ。若手とかに、『ジーコはこうだったんだよ』とか言うんじゃなくてね」
 
 長くキャプテンマークを巻いてきた。継承者としての気概は、並大抵ではない。
 
「ここはクラブ自体がそこを大事にしている。俺がキャプテンになった時、本田さんや秋田さん、ヤナギ(柳沢敦)さんがなにをやっていたか、どう振る舞っていたか、なにを話していたかをよく思い起こした。最高の見本があるわけだから、それを真似してきただけ。
 
 あの時こう言ってくれたな、こういう姿勢で臨んでたなって。決して練習では手を抜かないし、少々のことでは練習を休まないし、チームはひとつになって戦うんだって姿勢を見せてくれてた。結果を出してきた、勝ってきたって実績があるから、すべてが正しかったと思える。中田(浩二)もヤナギさんもそうだけど、最後の去り際が素晴らしかった。試合にあまり出れなくなっても文句ひとつ言わず練習を一生懸命やるし、ほかの選手にアドバイスを送ってね」

 
同期入団でずっとともに切磋琢磨してきた中田に対しては、さらに熱が込もる。
 
「きっと悔しい想いはしてたと思うんだけど、最後までやり切ってこのチームを去って行った。中田は引退した年、一回も練習を休んでない。俺の記憶が正しければ。ほとんど試合に出てないのにああいう姿を見せられるって、やっぱりこのクラブの象徴なのかなって思う。恥ずかしいから、面と向かっては言わないけどね(笑)」

 
【関連記事】
【黄金世代】第3回・小笠原満男「ジーコジャパンの真相と、セリエA挑戦の深層」(♯5)
【黄金世代】第3回・小笠原満男「誕生、東北のファンタジスタ」(#1)
【黄金世代】第1回・小野伸二「なぜ私たちはこのファンタジスタに魅了されるのか」(♯1)
【黄金世代】第2回・遠藤保仁「それは、桜島からはじまった」(♯1)
【黄金世代・復刻版】1999 U-20日本代表メモリアル「最強の名のもとに」前編

サッカーダイジェストTV

詳細を見る

 動画をもっと見る

Facebookでコメント

サッカーダイジェストの最新号

  • 週刊サッカーダイジェスト 王国の誇りを胸に
    4月10日発売
    サッカー王国復活へ
    清水エスパルス
    3年ぶりのJ1で異彩を放つ
    オレンジ戦士たちの真髄
    詳細はこちら

  • ワールドサッカーダイジェスト 特別企画
    5月1日発売
    プレミアリーグ
    スター★100人物語
    絆、ルーツ、感動秘話など
    百人百通りのドラマがここに!
    詳細はこちら

  • 高校サッカーダイジェスト 完全保存版
    1月17日発売
    第103回全国高校サッカー選手権
    決戦速報号
    前橋育英が7年ぶりの戴冠
    全47試合&活躍選手を詳報!
    詳細はこちら

>>広告掲載のお問合せ

ページトップへ