【黄金世代】第3回・小笠原満男「18歳の決断~なぜ常勝・鹿島を選んだのか」(#3)

カテゴリ:特集

川原崇(サッカーダイジェストWeb編集部)

2017年06月28日

ドラフトで言えば6人中6位。補欠だよ。

大船渡高3年の夏以降は、進路について大いに悩んだようだ。なかなか鹿島入団を決断できなかったという。(C)SOCCER DIGEST

画像を見る

 とりわけ小笠原にとって、鹿島で同期の本山雅志と中田浩二は、スペシャルな存在であり続けた。
 
 1998年、鹿島の新卒入団は、後にも先にもないスーパータレント6人衆だった。小笠原、本山、中田はもとより、ユースチームから昇格の曽ケ端、熊本の大津高校からきた天才肌のプレーメーカー・山口武士、そして、奈良育英高校の攻撃的な左サイドバック・中村祥朗という顔ぶれ。いずれも清雲栄純監督が率いるU-18日本代表の常連だった。
 
 わたしは絶対に同意しないが、そこでも小笠原は「6番目だった」と主張する。
 
「ドラフトで言えば6人中6位。最後に決まったからね。豪華だったのはモトと中田なのであって、俺は注目選手でもなんでもない。補欠が獲れちゃったんだよ」
 
 高校・ユース担当だったわたしは、当時の鹿島の名スカウトコンビと懇意にさせてもらっていた。平野勝哉さん、椎本邦一さんのふたりだ。
 
 20年前のスカウト事情は、いまほど成熟していなかったかもしれない。ヤングタレントの潜在能力と伸びしろを見極め切れず、評判なり知名度、あるいは全国大会や世代別代表での経験を基本情報に、容易くプロの世界に導いていたクラブが少なくなかった。入団から1、2年で放出されるティーンネイジャーを何人も見ていた。
 
 そんななか、鹿島は段違いの価値基準を持ち、高校生たちに個別の近未来設計を提示していたのだ。小笠原はこう証言する。
 
「正直、何チームかが声をかけてくれた。10番を用意して待ってるとか、レギュラーとして即戦力で迎えるとか、俺の中ではなんでそうなるのかなって不思議だった。でも、鹿島の平野さんと椎本さんだけは、はっきり言ってくれたんだよね。うちは来てもそう簡単じゃないよって。
 
 ただ、きっとやりがいはある。数年かけてこのチームでレギュラーを獲れれば、間違いなく代表にもつながる。それだけのチームで、可能性があるから声をかけたんだって。そこにグッと来たわけ。そういうチームでやりたいって思った」

 
【関連記事】
【黄金世代】第3回・小笠原満男「栄光の16冠、究極のアントラーズ愛」(♯4)
【黄金世代】第3回・小笠原満男「誕生、東北のファンタジスタ」(#1)
【黄金世代】第1回・小野伸二「なぜ私たちはこのファンタジスタに魅了されるのか」(♯1)
【黄金世代】第2回・遠藤保仁「それは、桜島からはじまった」(♯1)
【黄金世代・復刻版】1999 ワールドユース激闘録~銀色の軌跡(前編)

サッカーダイジェストTV

詳細を見る

 動画をもっと見る

Facebookでコメント

サッカーダイジェストの最新号

  • 週刊サッカーダイジェスト 王国の誇りを胸に
    4月10日発売
    サッカー王国復活へ
    清水エスパルス
    3年ぶりのJ1で異彩を放つ
    オレンジ戦士たちの真髄
    詳細はこちら

  • ワールドサッカーダイジェスト 特別企画
    5月1日発売
    プレミアリーグ
    スター★100人物語
    絆、ルーツ、感動秘話など
    百人百通りのドラマがここに!
    詳細はこちら

  • 高校サッカーダイジェスト 完全保存版
    1月17日発売
    第103回全国高校サッカー選手権
    決戦速報号
    前橋育英が7年ぶりの戴冠
    全47試合&活躍選手を詳報!
    詳細はこちら

>>広告掲載のお問合せ

ページトップへ