イグアインの交渉をもしその時点で報じていれば…。
私たちマスコミが、移籍交渉の行方に影響を及ぼすような力を持っている(持ち得る、と言った方がいいだろう)ことも、一面の事実ではある。しかし、それをどのように使うか、使わないかは、個々人の(あるいはメディアの)判断に委ねられている。
私が移籍専門記者としていまのポジションを築くことができたのは、クラブや代理人との間に信頼関係が成り立っているからだ。前述のように私はスクープ情報を握ったからといって、一刻も早くそれを報道しようとは思わない。状況や利害を見ながら然るべきタイミングがやって来たところで表に出す。それが私のやり方だ。
もし昨夏、ユーベとゴンサロ・イグアインがナポリの知らないところで移籍について話し合っているという情報を掴んだ段階で、すぐにそれを表に出していたら、この移籍は成立していなかったかもしれない。私がそれを報じたのは、両者が合意に達して仮契約にサインし、情報が表に出たところでユーベも後には引けないという状況になってからだ。
その情報をくれたのはイグアインの代理人である兄で、すぐに表には出さないよう彼には口止めされてもいた。そして私は、みずからの信念に従った
文:ジャンルカ・ディ・マルツィオ
翻訳:片野道郎
※『ワールドサッカーダイジェスト2017年5月4日号』より加筆・転載
【著者プロフィール】
Gianluca DI MARZIO(ジャンルカ・ディ・マルツィオ)/1974年3月28日、ナポリ近郊の町に生まれる。パドバ大学在学中の94年に地元のTV局でキャリアをスタートし、2004年から『スカイ・イタリア』に所属する。元プロ監督で現コメンテーターの父ジャンニを通して得た人脈を活かして幅広いネットワークを築き、「移籍マーケットの専門記者」という独自のフィールドを開拓。この分野ではイタリアの第一人者で、2013年1月にジョゼップ・グアルディオラのバイエルン入りをスクープしてからは、他の欧州諸国でも注目を集めている。
私が移籍専門記者としていまのポジションを築くことができたのは、クラブや代理人との間に信頼関係が成り立っているからだ。前述のように私はスクープ情報を握ったからといって、一刻も早くそれを報道しようとは思わない。状況や利害を見ながら然るべきタイミングがやって来たところで表に出す。それが私のやり方だ。
もし昨夏、ユーベとゴンサロ・イグアインがナポリの知らないところで移籍について話し合っているという情報を掴んだ段階で、すぐにそれを表に出していたら、この移籍は成立していなかったかもしれない。私がそれを報じたのは、両者が合意に達して仮契約にサインし、情報が表に出たところでユーベも後には引けないという状況になってからだ。
その情報をくれたのはイグアインの代理人である兄で、すぐに表には出さないよう彼には口止めされてもいた。そして私は、みずからの信念に従った
文:ジャンルカ・ディ・マルツィオ
翻訳:片野道郎
※『ワールドサッカーダイジェスト2017年5月4日号』より加筆・転載
【著者プロフィール】
Gianluca DI MARZIO(ジャンルカ・ディ・マルツィオ)/1974年3月28日、ナポリ近郊の町に生まれる。パドバ大学在学中の94年に地元のTV局でキャリアをスタートし、2004年から『スカイ・イタリア』に所属する。元プロ監督で現コメンテーターの父ジャンニを通して得た人脈を活かして幅広いネットワークを築き、「移籍マーケットの専門記者」という独自のフィールドを開拓。この分野ではイタリアの第一人者で、2013年1月にジョゼップ・グアルディオラのバイエルン入りをスクープしてからは、他の欧州諸国でも注目を集めている。