【ミラン番記者】「キャプテン本田圭佑」の真実。懸命な姿勢はクラブ史に刻まれた

カテゴリ:海外日本人

マルコ・パソット

2017年05月31日

モンテッラは日本人記者の質問にジョークで返す。

本田(右)はモンテッラ(左)の下で完全なバックアッパー扱い。指揮官はそれでも不平不満を漏らさなかった背番号10に感謝した。写真:Alberto LINGRIA

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 この日のカリアリ戦は、決して良い出来ではなかった。多くの選手はすでに集中力が途切れていて、頭はバカンスか、それとも移籍するチームのことですでにいっぱいだ。本田だってそんな状態でもおかしくなかったろう。
 
 しかし本田はスソとカルロス・バッカと3トップを形成し、左サイドで全身全霊をかけて戦った。最初の30分で二度の良いスパートを見せてチャンスを作り、多くのプレーに絡んだ。その後、モンテッラがもっとセンターに入るよう指示を出し、少しトーンダウン。後半にはバッカにチャンスボールを送ったが、すでにこの時ミランはほとんど機能していなかった。結果は1-2の敗戦だった。
 
 こうして本田のミランでのラストゲームは終わった。モンテッラは試合後、キャプテンマークについてこう説明した。
 
「私は彼にほとんどプレーするスペースを与えなかった。これは感謝の印だ。本田はそれに値する偉大なプロフェッショナルだ」
 
 そして、質問した日本人記者に対しこんなジョークを飛ばした。
 
「あなたがこの20秒間で話したことのほうが、本田がこの1シーズンで私に話したことより多いよ」
 
 本田はカリアリ戦でチーム最多のチャンス(6回)を作り出したが、ボールロストの回数も16回と同トップだった。しかし、あまりに悲惨だったシーズンの前には、そんなデータも意味をなさないだろう。
 
 最後の最後に見られた2つの笑顔。ボローニャ戦の活躍とカリアリ戦のフル出場&キャプテン。もちろんこれで長いベンチ生活での苦い思いが帳消しになったわけではない。しかし、本田は知っている。彼がこの3年半で陰ひなたなく見せてきた振る舞いこそ、彼がミランに残した最大の功績であるということを。すべての選手の手本として彼の名がミラネッロに刻まれたことを。
 
 その真面目で懸命な姿勢は、ミランの歴史の中でもトップクラスだ。誰が何と言おうとも、これだけは疑う余地がない。
 
文:マルコ・パソット(ガゼッタ・デッロ・スポルト紙)
翻訳:利根川晶子
 
【ミランの本田圭佑 PHOTO】“歓喜”と“挫折”が混在した3年半を写真でプレイバック
 
【著者プロフィール】
Marco PASOTTO(マルコ・パソット)/1972年2月20日、トリノ生まれ。95年から『ガゼッタ・デッロ・スポルト』紙で執筆活動を始める。2002年から8年間ウディネーゼを追い、10年より番記者としてミランに密着。ミランとともにある人生を送っている。
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