【東京V】智将ロティーナの右腕は、かつてクライフの薫陶を受けたスゴ腕だった

カテゴリ:Jリーグ

川原崇(サッカーダイジェストWeb編集部)

2017年05月11日

チームが絶大な信頼を寄せるスカウティング力。

選手たちが口を揃えて称えるのがその分析力。自身も絶対の自信を持っているようだ。写真:滝川敏之(サッカーダイジェスト写真部)

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 イバンにインタビューする前、正守護神の柴崎貴広と立ち話をした。すると在籍13年目の大ベテランは、こんな事実を明かしてくれた。
 
「試合がはじまって最後尾からゲームを見ていると、よく分かる。ほとんどイバンの言ってた通りなんですよ。ゲーム展開や対戦相手の動きが。毎回驚かされますよ」
 
 ヴェルディ躍進の原動力のひとつとなっているのが、まさにこのスカウティング力だ。イバンが寝る間も惜しんで分析し、徹底的に選手たちに情報を刷り込む。そのことごとくが当たっているからこそ、選手たちは不安を抱えることなく、ゲームで全力を出し切れるのだ。このイバンの分析力には橋本も舌を巻き、中盤の要として奮闘する内田達也も「信頼し切ってます」と太鼓判を押す。
 
 イバンは自身の手柄をひけらかすことなく、淡々とこう答える。
 
「現代サッカーにおいてスカウティングが大事なのは当たり前で、僕も途轍もなく長い時間を割いている。その精度は高ければ高いほど選手の助けになるわけで、起こりうる状況を的確に捉えて説明し、その解決策まで示さなければ意味がない。そして選手は、なにを練習すべきかを理解する。そこは妥協せず、徹底して取り組んでいるよ」
 
 そうしたロティーナとイバンの指導方法に、ヴェルディの選手たちは必死に食らいつき、イメージをピッチ上で具現化してきた。少なくとも守備組織に関しては、いまやJ2でもトップレベルの完成度だろう。
 
 ここまでの早い仕上がりを、敏腕コーチは予測していたのか。
 
「とんでもない。こんなに早く浸透するなんてまるで想定していなかったよ。選手たちの強い意欲に助けてもらっている。若手もベテランもみんなが一丸となり、勝利のためにただひたすら邁進しているんだ。かつ、楽しみながら、この新しいコンセプトに取り組んでくれているね。本当に賢く、学ぶ意欲の強いプロフェッショナルばかりさ」
 
 スペインのレベル3とUEFAプロライセンスを持つ。当然いつかは独り立ちし、欧州クラブでの指揮も視野に入れているだろう。近未来にどんなビジョンを描いているのか。
 
「この世界、将来がどうなるかは分からないけど、僕は僕自身でいたい。少しずつ前進して、少しずつ成長して、少しずつアイデアを改善していきたい。監督や監督の友人からもいろんな学びを得ているし、書物を通していろんな指揮官のアイデアも学ぶけど、自分自身のフィロソフィーを大事にしたいんだ。Jクラブで? どうかな。可能性はあると思うよ」
 
 そう言って、ニッコリと笑った。


通訳:小寺真人(東京ヴェルディ)
取材・文:川原崇(サッカーダイジェストWeb編集部)
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