今季初めて参加した紅白戦では、深くて強いタックルで茶島を吹き飛ばした。
慢性疲労症候群という森崎和幸につきまとう持病が再発したのは、今年1月のタイキャンプでのこと。「普通の生活を送れることが奇跡」(森保監督)という彼の症状については、ここでは言及を避けたい。
彼がこの病のために練習場にすら来られなくなったのはこれで4度目だが、細かな症状は常に隣り合わせにいたという。そこを家族やチームの支えもあり、自身の工夫の積み重ねもあって、なんとか乗りきってきた。だが、今度はもう、耐えるのは難しかった。キャンプを離脱して帰国、そのまま「95%の男」は姿を見せなくなった。
果たして、ピッチに戻って来られるのか。過去の3度はまだ20代。年齢を重ね、体力も衰えている森崎和が、この試練を乗り越えるのか。
4月6日、約2か月ぶりに彼はチームメイトと共にトレーニングを行なった。4月24日、今季初めて紅白戦に参加し、得意の深くて強いタックルで茶島雄介をふき飛ばした。
「カズさんのタックルは逃げられない。いつもどおりです」と“削られた”茶島は苦笑。森保監督も「あのタックルや周りの良さを引き出す動きなどは、彼が培ってきたもの。改めて思いました。いい選手だな、と」。体力面にはまだ不安があることは否めないが、さすがのクオリティを見せた。「技術は衰えない」。ペトロヴィッチ前監督の言葉どおりである。
「まだ、自分のイメージと身体が一致しないけれど、それは当然のことだから」
穏やかに森崎和幸は言う。
「でも、昨年はなかなか掴めなかった感覚のところは良かった。昨年よりもいい感触を得た。一歩、半歩、前に進めたという感触です」
36歳の森崎和幸にいつまでも頼りっきりになるわけには、いかない。彼が戻ってくればすべてが解決するわけでもない。だが、預け所を見失って視線が泳いでしまった現状の広島を見るにつけ、ついピッチにいない8番に想いを馳せてしまう。
ただ、復帰を焦らせたくはない。「一歩一歩、です」と8番は言う。その言葉は自身の復帰への道のりであり、クラブの未来を築くための方策であり、苦境が続くチームへの道標のように思う。
取材・文:中野和也(紫熊倶楽部)
彼がこの病のために練習場にすら来られなくなったのはこれで4度目だが、細かな症状は常に隣り合わせにいたという。そこを家族やチームの支えもあり、自身の工夫の積み重ねもあって、なんとか乗りきってきた。だが、今度はもう、耐えるのは難しかった。キャンプを離脱して帰国、そのまま「95%の男」は姿を見せなくなった。
果たして、ピッチに戻って来られるのか。過去の3度はまだ20代。年齢を重ね、体力も衰えている森崎和が、この試練を乗り越えるのか。
4月6日、約2か月ぶりに彼はチームメイトと共にトレーニングを行なった。4月24日、今季初めて紅白戦に参加し、得意の深くて強いタックルで茶島雄介をふき飛ばした。
「カズさんのタックルは逃げられない。いつもどおりです」と“削られた”茶島は苦笑。森保監督も「あのタックルや周りの良さを引き出す動きなどは、彼が培ってきたもの。改めて思いました。いい選手だな、と」。体力面にはまだ不安があることは否めないが、さすがのクオリティを見せた。「技術は衰えない」。ペトロヴィッチ前監督の言葉どおりである。
「まだ、自分のイメージと身体が一致しないけれど、それは当然のことだから」
穏やかに森崎和幸は言う。
「でも、昨年はなかなか掴めなかった感覚のところは良かった。昨年よりもいい感触を得た。一歩、半歩、前に進めたという感触です」
36歳の森崎和幸にいつまでも頼りっきりになるわけには、いかない。彼が戻ってくればすべてが解決するわけでもない。だが、預け所を見失って視線が泳いでしまった現状の広島を見るにつけ、ついピッチにいない8番に想いを馳せてしまう。
ただ、復帰を焦らせたくはない。「一歩一歩、です」と8番は言う。その言葉は自身の復帰への道のりであり、クラブの未来を築くための方策であり、苦境が続くチームへの道標のように思う。
取材・文:中野和也(紫熊倶楽部)