【黄金世代・復刻版】1999 U-20日本代表メモリアル「最強の名のもとに」後編

カテゴリ:日本代表

川原崇(サッカーダイジェストWeb編集部)

2017年04月26日

限界を乗り越え、ナイジェリアの地で飛躍のときを迎える。

黄金世代の意識改革を促したトルシエ監督。ワールドユースでの快進撃に繋げた。(C)SOCCER DIGEST

画像を見る

 3月の国内最終キャンプでは、ナイジェリア遠征に向けた予防注射をめぐってトルシエと日本サッカー協会が火花を散らした。さらにブルキナファソから帰国後に稲本がじん帯を負傷。柱を欠いたなかでのリスタートとなった。
 
 しかし、彼らはもうどんなことにも動揺しなかった。やるべきことがなんなのかを、各々が深く理解している。本誌インタビューで、手島和希はこう話していた。
 
「いまは本当に、みんなでサッカーをやってて楽しいと感じられるようになりました。それはトルシエが監督になったからだけじゃなくて、考え方が変わったからでしょう。プレーに集中して、やりたいようにやれる。アジアユースは悔しかった。借りを返したい。結果はどうあれ、みんなのなかにそういう意識があるんですよ。だから、世界大会と言っても気負ってる部分がないんです」
 
 アジアユース後の数か月で、彼らは絶えず自問自答を続けた。これはある意味で、去っていった清雲監督の功績なのかもしれない。個々の自主性を重んじたいという指針を、無意識ながら選手は読み取っていたのだ。そこにトルシエ監督、山本昌邦コーチがスパイスを利かせ、チームとして仕上げていったのである。
 
 ワールドユースでの快進撃は、フロックではない。カメルーン戦に敗れても、彼らは裏付けされた自信とともに蘇ってきた。ベンチがドタバタしていても我関せずとプレーに専念し、誰が見ても采配ミスだったウルグアイ戦の後半でさえ、とっさの状況判断で乗り越えて見せたのである。
 
 そしてファイナル――もはや体力的にも限界に達していた。多くを望むべきではないだろう。すべてにおいて格が上だったスペインが相手。0-4というスコアにあっても、最後の1分1秒までボールを、ゴールを追い求めた彼らの姿を、むしろ目に焼きつけようではないか。ここからまた学び、逞しくなることを祈りつつ……。
 
 精神面では最弱だったかもしれないかつての少年たちは、最高の輝きを放ちつつ、その使命を終えた。愛すべきチームは、4月28日、成田空港で解散した。
 
――いまやすっかり有名人だよ。
 
「ホントですか? いや、ボクはそんなの信じないっすよ」
 
 無邪気にほくそ笑みながら、小笠原はこう答えてくれた。

文:川原崇(サッカーダイジェスト)
【関連記事】
【黄金世代】第1回・小野伸二「快進撃と悲劇~1999年の衝撃」(♯2)
【黄金世代】第1回・小野伸二「なぜ私たちはこのファンタジスタに魅了されるのか」(♯1)
【黄金世代・復刻版】1999 U-20日本代表メモリアル「最強の名のもとに」前編
【黄金世代・復刻版】1999 U-20日本代表メモリアル「最強の名のもとに」中編

Facebookでコメント

サッカーダイジェストの最新号

  • 週刊サッカーダイジェスト 2022年7月14日号
    6月23日発売
    先取りチェック!
    Jリーグ2022
    夏の移籍マーケット
    注目タレント最新動向
    詳細はこちら

  • ワールドサッカーダイジェスト ワールドサッカーダイジェスト
    6月16日発売
    欧州メガクラブ
    新シーズンの
    究極スカッド
    海外専門家が理想陣容を探る
    詳細はこちら

  • 高校サッカーダイジェスト 高校サッカーダイジェストVol.35
    12月14日発売
    第100回
    全国高校サッカー選手権
    決戦速報号
    全46試合を徹底レポート!
    詳細はこちら

>>広告掲載のお問合せ

ページトップへ