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【名選手・誕生秘話】「年俸240万円」から日本代表へ。太田宏介を導いた指揮官と元代表戦士との出会いとは?

カテゴリ:Jリーグ

飯尾篤史

2017年04月04日

「都並さんは本当に怖かった。でも、言葉の裏には、いつも愛情があった」。

横浜FCの監督に就任した都並氏の指導を受け成長。キャリアを語るうえで、かけがえのない存在だ。写真:滝川敏之(サッカーダイジェスト写真部)

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 その三浦が2007年夏、J1で苦戦する横浜FCに加わった。数年前まで日本代表として活躍していた大先輩の懐に、太田は少し緊張しながら飛び込んだ。
 
「学ぶことがたくさんあるはずだから、思い切って話しかけたんです。そんな僕にアツさんも優しくしてくれて」
 
 当時の横浜FCに多くいたベテラン選手たちは、全体練習が終わると、身体をケアするためにクラブハウスに引き上げて行った。居残り練習をするのはごくわずかの若手だけ。しかし、当時33歳の三浦は、毎日のように居残り、FKを蹴っていた。その様子を間近で見るだけで、太田にとって勉強になった。
 
「代表の話とか、ブレ球の蹴り方とか、いろいろと教えてもらいましたね。それまで先輩たちとコミュニケーションを取る機会が少なかったので、アツさんに可愛がってもらえて、すごく嬉しかった」
 
 2007年シーズン終了後、太田はもうひとり、恩師と出会う。日本代表の左SBの第一人者であった都並敏史が、J2に降格した横浜FCの再建を託されたのだ。

―――◆―――◆―――◆―――

 都並とはプロ入り前にすでに出会っていた。高校3年生だった2005年に、都並が率いるベガルタ仙台の練習に参加したことがあったのだ。
 
 すでに別の高校の左SBを獲得することが決まっていたため、太田の獲得は見送られたが、都並は最後までフロントに太田を推していたという。若き日の太田に、SBの才能を見出していたのだ。
 
 もっとも、才能を認めることと、実際に起用することとは別の話である。
 
 J2で迎えた2008年シーズン、太田は左SBに絞って練習に励んだが、良くて途中出場、悪ければベンチ外という状況が続く。都並がレギュラーに求める水準には達していなかったのだ。
 
 そんな太田に、都並は全体練習のあと、基本練習の場を設けた。監督によるマンツーマンの居残り特訓である。
 
 2本のポールを縦に距離をおいて並べ、ボールが手前のポールから奥のポールを巻くように左足で蹴る。それを何度も繰り返し、カーブの質を磨いた。
 
「練習自体は面白いものではなかったけれど、左足を武器にするんだ、という強い気持ちで取り組みました。都並さんは本当に怖かった。でも、その言葉の裏にはいつも愛情があった」
 
 週2回の筋力トレーニングにも励んでいた太田に、13節の愛媛FC戦で左SBとして先発するチャンスが訪れる。個人特訓が始まって約2か月、キックの質はみるみるうちに向上し、都並の求めるレベルに達したのだった。
 
 この年、三浦はボランチや攻撃的MFとして出場することが多かった。
 
「アツさんは『ボールを持ったら俺に渡せ』と言ってくれたので、アツさんに預けては攻撃参加の繰り返し。今のプレースタイルは間違いなくあの頃に築き上げたもの。それに、試合に出場し続けるうちに、自分がこのチームを引っ張るんだっていう気持ちも芽生えた。若いうちに責任を感じられたのは大きかった」
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