ミランは手元にいた本田ではなく、6月にいなくなる2人に賭けた。
さて、新たに加入した本田のライバルたちはどんな選手なのか?
とりわけ期待が大きいのは、バルセロナの下部組織出身でスペイン代表歴もある22歳のデウロフェウだろう。テクニックとパワーが融合したドリブル、正確なキックは一級品。基本はドリブラーだが、周囲の仲間の動きをよく見ており、クロスでのアシスト、さらにゴールセンスも悪くない。
スソとジャコモ・ボナヴェントゥーラ(怪我で今シーズン中の復帰は絶望的)のちょうど中間ぐらいのタイプと言えるだろうか。ボナヴェントゥーラは自分がゴール前まで攻め上がるのを好むが、スソは頭を上げてクロスを狙う傾向が強い。
デウロフェウの短所はややスピードに欠けること、そして天才肌ならではだが安定感の欠如だろう。好調時は独力で違いを作り出すが、試合から消えてしまう日も少なくない。
しかし、新たなチームメイトたちには頼りにされているようだ。漏れ伝わってくる評判は良いし、実際にすでによくボールが回ってきている。
リーベル出身で同じ22歳のオカンポスは、より「サイドの男」だ。90分間を通じたタッチライン際の上下動を可能にするロングスプリントと運動量を併せ持ち、デウロフェウよりも守備力が高い。
初見では、守備への貢献度という意味でオカンポスのほうがより本田のプレースタイルに似ている印象を受けた。モンテッラが彼らを今後どのように使っていくかが、気になるところだ。
忘れてはいけないのは、彼らがともに少年と呼べる頃からその才能を認められていた選手であることだ。アドリアーノ・ガッリアーニ副会長はこう語っている。
「デウロフェウはバルサのアカデミーで最高のタレントと言われていた。オカンポスはU-18世代で世界最高の選手と言われていたね。彼らは早い段階で才能を伸ばしきれなかったが、ポテンシャルは高いのだからそれを開花させる可能性がある」
ミランが狙っているのは、スソのパターンだろう。カディスの下部組織で育ち、レアル・マドリーからも声が掛かったという逸材は、15歳でリバプールに引き抜かれた。しかし、なかなか才能を発揮できず伸び悩み、2015年1月にミランへ。昨シーズン後半にレンタルされたジェノアで台頭し、今シーズンに入ってミランでついに大ブレイクを遂げた。
ともにスソと同じくポテンシャルは折り紙付き。ただし、彼らの保有元もそれは重々承知で、その証拠に2人とも今シーズン終了までのレンタルだ。6月にはデウロフェウはエバートンに、オカンポスはマルセイユに帰ってしまう。
それでもミランは手元にいた本田ではなく、2人に賭けた。モンテッラは彼らを本田よりも上のヒエラルキーに入れたのだ。
しかし、ひとつだけ未知数な点がある。公式戦4連敗中と今のミランは絶不調なのだ。モンテッラは現レギュラー陣の働きに満足していない。この嫌な流れを断ち切る劇薬として、思い切った選択をするかもしれない。そこに本田が組み込まれる可能性は極めて低いが、もちろんゼロではない。何しろ彼は、ミランに所属する選手なのだから。
文:マルコ・パソット(ガゼッタ・デッロ・スポルト紙)
翻訳:利根川晶子
【著者プロフィール】
Marco PASOTTO(マルコ・パソット)/1972年2月20日、トリノ生まれ。95年から『ガゼッタ・デッロ・スポルト』紙で執筆活動を始める。2002年から8年間ウディネーゼを追い、10年より番記者としてミランに密着。ミランとともにある人生を送っている。
とりわけ期待が大きいのは、バルセロナの下部組織出身でスペイン代表歴もある22歳のデウロフェウだろう。テクニックとパワーが融合したドリブル、正確なキックは一級品。基本はドリブラーだが、周囲の仲間の動きをよく見ており、クロスでのアシスト、さらにゴールセンスも悪くない。
スソとジャコモ・ボナヴェントゥーラ(怪我で今シーズン中の復帰は絶望的)のちょうど中間ぐらいのタイプと言えるだろうか。ボナヴェントゥーラは自分がゴール前まで攻め上がるのを好むが、スソは頭を上げてクロスを狙う傾向が強い。
デウロフェウの短所はややスピードに欠けること、そして天才肌ならではだが安定感の欠如だろう。好調時は独力で違いを作り出すが、試合から消えてしまう日も少なくない。
しかし、新たなチームメイトたちには頼りにされているようだ。漏れ伝わってくる評判は良いし、実際にすでによくボールが回ってきている。
リーベル出身で同じ22歳のオカンポスは、より「サイドの男」だ。90分間を通じたタッチライン際の上下動を可能にするロングスプリントと運動量を併せ持ち、デウロフェウよりも守備力が高い。
初見では、守備への貢献度という意味でオカンポスのほうがより本田のプレースタイルに似ている印象を受けた。モンテッラが彼らを今後どのように使っていくかが、気になるところだ。
忘れてはいけないのは、彼らがともに少年と呼べる頃からその才能を認められていた選手であることだ。アドリアーノ・ガッリアーニ副会長はこう語っている。
「デウロフェウはバルサのアカデミーで最高のタレントと言われていた。オカンポスはU-18世代で世界最高の選手と言われていたね。彼らは早い段階で才能を伸ばしきれなかったが、ポテンシャルは高いのだからそれを開花させる可能性がある」
ミランが狙っているのは、スソのパターンだろう。カディスの下部組織で育ち、レアル・マドリーからも声が掛かったという逸材は、15歳でリバプールに引き抜かれた。しかし、なかなか才能を発揮できず伸び悩み、2015年1月にミランへ。昨シーズン後半にレンタルされたジェノアで台頭し、今シーズンに入ってミランでついに大ブレイクを遂げた。
ともにスソと同じくポテンシャルは折り紙付き。ただし、彼らの保有元もそれは重々承知で、その証拠に2人とも今シーズン終了までのレンタルだ。6月にはデウロフェウはエバートンに、オカンポスはマルセイユに帰ってしまう。
それでもミランは手元にいた本田ではなく、2人に賭けた。モンテッラは彼らを本田よりも上のヒエラルキーに入れたのだ。
しかし、ひとつだけ未知数な点がある。公式戦4連敗中と今のミランは絶不調なのだ。モンテッラは現レギュラー陣の働きに満足していない。この嫌な流れを断ち切る劇薬として、思い切った選択をするかもしれない。そこに本田が組み込まれる可能性は極めて低いが、もちろんゼロではない。何しろ彼は、ミランに所属する選手なのだから。
文:マルコ・パソット(ガゼッタ・デッロ・スポルト紙)
翻訳:利根川晶子
【著者プロフィール】
Marco PASOTTO(マルコ・パソット)/1972年2月20日、トリノ生まれ。95年から『ガゼッタ・デッロ・スポルト』紙で執筆活動を始める。2002年から8年間ウディネーゼを追い、10年より番記者としてミランに密着。ミランとともにある人生を送っている。