泣くことすらできない病… 森﨑浩司の凄絶なサッカー人生に恩師ミシャはどう寄り添ったのか?

カテゴリ:Jリーグ

中野和也

2016年10月26日

「アクシデントがあったからこそ自分は人間的に成長できた」

2012年の初優勝時のひとコマ。双子の兄・和幸とともにシャーレを掲げる。写真:小倉直樹(サッカーダイジェスト写真部)

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「君はひとりではない。そう、浩司とカズには伝えたかったんだ」
 
 恩師は7年前を振り返る。
「だからこそまず、チームとしてふたりと向き合い、彼らが戦っているものに対して、一緒に戦いたかった。チームのみんなが浩司やカズを愛し、ふたりと共にあることを伝えたかったんだ。
 生きることは難しい。いいことばかりではない。ただ、人間としての質が問われるのは、その厳しい時にどう振る舞うか、どう戦うか。その厳しい戦いに対して、自分たちが持っている力をふたりに贈り、その力で前を向いてほしかった。浩司もカズも、しっかりと歩こうと努力し、厳しい戦いのなかで強さを身につけてくれた。
 今もきっと、楽ではないだろう。それでも前を向いているのは、当時の出来事があったからかもしれない」
 
 ペトロヴィッチ監督や柏木をはじめ、多くの人々が「日本代表で活躍してしかるべき選手だ」と森﨑浩司のクオリティを讃え、その行く道を阻んだ病を悔やむ。だが、本人は「そういうアクシデントがあったからこそ、自分は人間的に成長できた」と捉えている。
 
「それにね、僕はたくさんの人に恵まれました。クラブのみなさんやチームメイト、家族、僕をどんな時も待ってくれているサポーター。そして、ミシャと森保監督。感謝という言葉以外には、見つかりません」
 
 森﨑浩司が戦ってきた軌跡は、想像を絶する。17年も現役を続けられたことが奇跡であり、その奇跡を支えたのはたくさんの人々の力なくして語れない。特に、彼が名前を挙げたふたりの指揮官だ。
 
 サッカーの楽しさを教え、深い愛情と優しさを注ぎ続けたミハイロ・ペトロヴィッチ。「苦しい自分を、何もできない自分をも好きになってみたら」とヒントを与え、毎日2時間でも3時間でも「苦しみの吐露」に付き合った森保一。サッカー選手・森﨑浩司としては、怪我や病との戦いは不運。だが、人生にとって得がたい師と二人も出会い、兄・和幸らをはじめとする仲間たちと共に栄光を勝ち取り、17年間を広島一筋に過ごしてサポーターに愛された人間・森﨑浩司は、確かに恵まれていたのかもしれない。

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