U-19日本代表の救世主に!? 柏レイソルU-18の至宝、中村駿太の心意気

カテゴリ:高校・ユース・その他

川原 崇(高校サッカーダイジェスト)

2016年10月04日

「まだなにも始まってないんです」

土曜日の大宮ユース戦では1ゴールを挙げるも、チームは2-4の黒星を喫した。エースの苦悩は続く。写真:川原 崇(高校サッカーダイジェスト)

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 バーレーンでの過酷な連戦に想いを馳せる一方で、気がかりなのが柏U-18の現状だ。
 
 スーパーサブだった昨季とは異なり、今季は開幕直後から前線のエースとしてチームを引っ張ってきた。当初はゴールを順調に重ねてチームも上位をキープしていたが、後期のスタートとともにディフェンスに綻びが生じ、攻守のバランスを崩してしまう。ここ6試合が1勝1分け4敗。土曜日のプレミアリーグEAST(第15節)も大宮アルディージャユースを相手に一時は0-4までリードを広げられ、終盤になんとか2点を返すのが精いっぱいだった。中村はそのうちの1点を決めたが、エースとして忸怩たる想いがあるようだ。
 
「自分が点を取らないとチームは勝てない。代表に呼んでもらっているわけで、その自覚と責任を持って違いを出していかなきゃダメですね。今年は開幕から試合に出続けて、90分間を走り切る体力とか、駆け引きし続けるメンタルのところとか、いろいろ考えながらプレーしてきました。体力や瞬発力も必要になってくるんですけど、そこで負けないぞ、強くなるぞと言い聞かせてやっている。自分の成長を感じられる部分があるし、身体の動きとか感覚的にも悪くはないんですけど、結果的にチームを勝利に導けていないわけですから、やはり不甲斐ない。代表で得た経験や刺激をチームにしっかり還元していきたいです。でなきゃ、行っている意味がないですから」
 
 ジュニア時代に全国制覇を成し遂げ、年代別の日本代表にはつねに名を連ね、17歳にして海外遠征や国際トーナメントの経験も十二分にある。筋金入りのエリートと言っていいだろう。だがこの本格派ストライカーの実像は、いたって素朴だ。なんとも陽気で人懐っこく、謙虚なスタンスを崩さない勉強家だ。そして和製アグエロは、ずっと先を見据えている。
 
「まだなにも始まってないんです。A代表に選ばれるまでは」
 
 来るバーレーンのビッグステージ。U-19日本代表の攻撃に閉塞感が生まれたなら、メンタルタフネスが自慢の中村駿太にお呼びがかかるだろう。はたしてそこからどんなサクセスストーリーが描かれるのか。自分がそこにいる意味を突き詰めて考え、全身全霊のプレーを保証する柏の至宝は、救世主となりうるのか。
 
 なにかどでかいことをやってのけそうな、そんな気がしている。
 
取材・文:川原 崇(高校サッカーダイジェスト)
 
【U-19アジア選手権】10月13日から30日までバーレーンで開催される19歳以下の国際大会。アジアの16チームが4グループに分かれ、各上位2チームが準々決勝へ。それを勝ち抜いた準決勝進出4チームが、来夏に韓国で開催されるU-20ワールドカップへの出場権を得る。日本のグループリーグの対戦相手はカタール、イエメン、イラン。韓国がベスト4に進出した場合は、残る1枠を懸け、準々決勝敗退の4チームによる5位決定トーナメントが実施される。
 
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