川口能活クロニクル――神が舞い降りた死闘のPK戦|2004年アジアカップvsヨルダン

カテゴリ:日本代表

サッカーダイジェストWeb編集部

2016年08月31日

3人目のキックでスイッチが入った。

キャプテンの宮本がエンド変更を申し出た後、流れが日本に傾いた。(C)SOCCER DIGEST

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 日本の先攻で始まったPK戦。ひとり目の(中村)俊輔のキックがバーを大きく超えていき、ふたり目の三都主(アレサンドロ)のキックも同じくゴールの枠を大きく外れていきました。
 
 ふたりともキックモーションに入って踏み込んだ瞬間、芝がめくれてミスキック。軸足を滑らせての失敗とあって、キャプテンのツネ(宮本恒靖)がレフェリーのところへ駆け寄り、エンドの変更を求めました。交渉の結果、反対のゴールでPK戦を再開することになったのです。PK戦の途中でエンドが変わるなんて前代未聞のこと。よくレフェリーは決断したと思います。
 
 しかし、エンドが変わったとはいえ、日本の劣勢は変わりません。ヨルダンのふたり目のキッカーに決められ、0−2。日本の3人目、フク(福西崇史)が成功したものの、ヨルダンの3人目にも決められました。4人目の中田浩二も成功して2−3になりましたが、ヨルダンの4人目が成功したら、その瞬間、日本の敗退が決まってしまいます。
 
 まさに絶体絶命のピンチでしたが、あの時、僕自身のなかで「なにかが吹っ切れた」感じがしたのです。当時の映像をビデオで振り返えると分かるのですが、僕の目つきがまったく違っています。まるで別人のような表情になっていました。
 
 実は、僕にとってAマッチ初のPK戦だったのです。JリーグではPK戦を経験していましたが、PK戦自体も本当に久しぶりでした。ですから最初は緊張していて、ヨルダンのひとり目、ふたり目はまったく身体が反応できなかった。いわゆる“跳ぶ”動作が、できていなかったのです。浮足立ってしまって、構えも悪くて重心が高くなっていて、気持ちも身体も、PK戦に入り切れていませんでした。
 
 それが3人目のキッカーでは、“読み”は外れましたが、キックに対してしっかり身体が反応することができました。ようやくPK戦の感覚を取り戻せたのです。その時すでに後のない状況でしたが、ここから僕のなかで“スイッチ”が入りました。
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