川口能活クロニクル――神が舞い降りた死闘のPK戦|2004年アジアカップvsヨルダン

カテゴリ:日本代表

サッカーダイジェストWeb編集部

2016年08月31日

後半途中からPK戦を覚悟していた。

ジーコジャパンの発足当初は楢﨑が正GKを務めていたが、怪我をキッカケに川口がポジションを掴み、アジアカップでは獅子奮迅の活躍を見せた。(C)SOCCER DIGEST

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 蒸し風呂のような暑さ、地元の大ブーイング……。あれほど劣悪な状況でプレーした経験はありませんでした。初戦のオマーンから、お客さんのほとんどが相手チームを応援していましたし、ブーイングがあまりにもひどすぎて、日本の国家も聞き取れないほどの状況でした。
 
 それに加えて、日本もチームとして決して良いパフォーマンスを見せることができませんでした。(中村)俊輔以外の海外組(中田英寿、高原直泰、稲本潤一)を欠いていた影響があったのかもしれませんが、初戦のオマーン戦(1−0)をはじめ、ずっと苦しい戦いを強いられていました。
 
 その一方で、僕のコンディションは悪くありませんでした。GKにとって楽な試合は一度もありませんでしたが、闘争本能が磨かれていったのか、試合を追うごとに自分のパフォーマンスは逆に上がっていっていくのが分かりました。
 
 そうしたなか、チームはどうにかグループリーグを首位通過しました。そして迎えた準々決勝のヨルダン戦は、この大会のハイライトとなったゲームでした。
 
 ヨルダンの情報はほとんどありませんでした。ワールドカップ予選でイランに勝ったこと、GKのシャフィが若くていい選手だということくらい。ただ、ヨルダンは、グループリーグで韓国(0−0)、クウェート(2−0)、UAE(0−0)と対戦し、無失点で勝ち上がってきて守備の強いイメージがありました。
 
 実際、僕たちとの試合でも、積極果敢に戦ってきました。立ち上がりからずっとヨルダンに主導権を握られ、先制点を奪われる苦しい展開になりました。先制されてすぐに(中村)俊輔のセットプレーから(鈴木)隆行が同点ゴールを決めてくれたて助かりました。ヨルダンの守備が良かったので、そのまま逃げ切られる可能性がありましたから。
 
 案の定、その後もヨルダンのペースは変わりませんでしたが、とはいえ、ヨルダンにやられるという気配もありませんでした。このままPK戦になるだろう……。後半途中から覚悟していました。予想通り、1−1からスコアは動かず120分間を終えて、運命のPK戦へと突入したのです。
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