本日決着! ブラジルvsドイツ――過去の五輪での対決を振り返る

カテゴリ:ワールド

サッカーダイジェストWeb編集部

2016年08月20日

1988年――名守護神の突然の覚醒でブラジルがPK戦を制する。

殊勲のタファレルに抱きつくのは、この試合でもゴールを決めたロマーリオ(大会得点王)。この光景は、94年W杯の決勝でも再現されることとなる。 (C) SOCCER DIGEST

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 初対決から再会までには32年を要したが、3度目の対峙の時はすぐに訪れた。韓国・ソウルでの88年大会である。
 
 ロス五輪同様、年齢制限なしでワールドカップ出場経験のない(欧州・南米限定)プロ選手の参加が認められたこの大会、ブラジル、西ドイツともに、有望な若手を多く送り出してきた。
 
 ブラジルでは、90年W杯から3大会連続でブラジルのゴールマウスを守ることになるGKクラウディオ・タファレル、そしてSBのジョルジーニョは攻撃的なSBとして94年のブラジルの世界制覇に貢献し、バイエルンや鹿島などで活躍することとなる。
 
 CBのリカルド・ゴメスは、この2年後にはA代表の守備の要としてW杯に出場。中盤では、後に名古屋グランパスでもプレーするバウド、また現在バルセロナで活躍するチアゴ・アルカンタラ、ラフィーニャの父親であるマジーニョもこの大会を経て、2年後に世界の舞台に立つ。
 
 そして前線には、94年W杯で優勝の原動力となるロマーリオとベベットが並んだ。前者はバスコ・ダ・ガマの新鋭ストライカーとして注目され、後者はすでにフラメンゴでジーコの後継者として高い評価を勝ち取っていた。
 
 一方、西ドイツでは、ユルゲン・クリンスマンが最大の注目株。同年には、すでに次代を担うストライカーとしてEURO88にも出場していた。その後はドイツを代表する存在として世界制覇(90年)、欧州制覇(96年)に貢献し、クラブレベル、そして監督としても結果を残していく。
 
 中盤のトーマス・ヘスラーはドイツの選手らしからぬファンタジー溢れるプレーの持ち主としてケルンで台頭し、FKの名手としてもブラジルのテクニシャン、ネトともに高い評価を受けた。彼もまた、後のA代表の中核としてタイトル獲得に貢献していく。
 
 このように、それぞれの国を背負って立つことになる若きタレントたちの対峙は、ブラジルの技術と西ドイツの組織が真っ向からぶつかり合う内容のものとなった。
 
 試合が動いたのは50分。右サイドのFKから、ブラジルのマークがクリンスマンに集中したところで、うまく抜け出したファッハがノーマークでのヘディングシュートを決め、西ドイツが先制する。
 
 対するブラジルは79分、スピーディーなドリブルで相手を撹乱したカレッカ(86年、90年W杯で活躍した名ストライカーとは別人)の絶妙なクロスを、中央で待ち構えたロマーリオが頭で合わせ、追い付いた。
 
 勝敗に大きな影響を与えるプレーが生まれたのは81分。クリンスマンが自陣からドリブルで突き進み、ペナルティーエリア内で倒されて西ドイツがPKを得る。ブラジルにとっては絶体絶命のピンチが訪れたが、Gkタファレルがフンケルのキックを止めた。
 
 それまで、ミスを連発するなど不安定だったタファレルがこのプレーで覚醒し、以降はファインセーブを連発。PK戦では西ドイツの1番手、ヤンセンと5番手のブトケを止めて勝利の立役者となった。
 
 西ドイツは勝利のチャンスを逃し、PK戦ではエースのクリンスマンも、タファレルの逆を突いたものの、ポストに当てて失敗してしまった。
 
 ブラジルに凱歌が上がったこの激戦の後、西ドイツは3位決定戦でイタリアを下して銅メダルを獲得。一方、2大会連続で決勝へ進んだブラジルは、大部分の時間帯で試合を支配するもソ連の粘りに苦しみ、延長戦で決勝点を奪われてまたも涙を飲んだ。
 
◇1988年ソウル大会
準決勝
ブラジル 1(3PK2)1 西ドイツ
得点:ブ=ロマーリオ(79分) 西=ファッハ(50分)
PK戦:西(先)=ヤンセン×、クリンスマン×、クレッピンガー○、ファッハ○、ブトケ× ブ=J・パウロ○、ビンク○、ロマーリオ○、A・クルス×

ブロンドの長髪をなびかせてピッチを疾走したクリンスマン。すでにドイツを代表するストライカーに成長していた彼は、この大会で4ゴールを挙げた。 (C) Getty Images

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