【収穫その三】試合前日に登録、即デビュー。前鹿島のFWジネイが最前線で見せた可能性。
そして3つ目が、試合前日に選手登録されたばかりのFWジネイが、十分な可能性を示したことだ。
68分から大槻と交代し、CFのポジションに入る。第1ステージまで鹿島に在籍したブラジル人ストライカーは、高さと強い身体能力を生かしてペナルティエリア内でボールを収め、さらにテクニカルな細かなタッチからDF陣を揺さぶり浦和ゴールに迫った。
ジネイは試合後、次のように収穫と課題を挙げた。
「湘南では1、2週間ほどしか練習できていないので、これからもっと周囲との連係は高まっていく。まだ試合勘が取り戻せていない点だけが課題。そこさえ補えれば問題ない。残り10試合、一戦一戦を決勝戦のような気持ちで臨みたい」
また膝の怪我については、「膝は鹿島にいる段階で100パーセント完治している。だから、あとはゲームの感覚を取り戻すだけなんだ」と強調していた。
優しい微笑みが印象的な、186センチの長身FWは、湘南の救世主になり得る――。そんな楽しみな可能性を感じさせてくれた。
今季の湘南の課題のひとつとして、CFが思うように攻撃面で機能せずにいた点が挙げられる。これからも広島、鹿島、G大阪という強豪との連戦が続くが、ひとつのキッカケにより、そして1勝をもぎ取れれば、たちまち状況は好転するに違いない。
ジネイが前線にハマり、早い段階でファーストゴールが生まれれば――その一撃が湘南の反撃への狼煙(のろし)になるはずだ。
取材・文:塚越 始(サッカーダイジェスト編集部)