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「ゴッドハンドを目ざす!」欧州で独自の治療法を追求する“敏腕フィジオ”のもとに日本代表戦士たちが続々!「メンタルと筋肉は関係します」【現地発】

カテゴリ:海外日本人

中田徹

2024年10月25日

「人を知り、選手を診る・見る」というフィロソフィー

柔道のオランダ代表にも帯同。サッカー以外の場でも研鑽を積んできた。写真提供:桑原秀和

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 人には身体の使い方にクセがあり、一流サッカー選手も身体の基本的な使い方を取り戻すトレーニングが必要だ。

「サッカーに特化したトレーニングというより、人間としての身体を赤ちゃんのようにナチュラルに戻すようなトレーニングです。赤ちゃんは本当に必要最低限の筋肉で立ちます。そのためには身体の中心に近い筋肉がしっかり働かないといけない。しかしストレスや緊張により肩が上がって猫背になったりして、外側の筋肉がだんだん硬くなり、サッカー選手だとパフォーマンスが下がったり、怪我をしやすくなったりする。

 一方、身体の中心に近い筋肉がしっかり使えてくるようになると身体の可動域が勝手に上がっていきます。だけど、そこは意識しないと使えない筋肉ですので、トレーニングで意識させて使えるようにし、自然な身体に戻していきます。ストレスで身体の外側の筋肉が硬くなるように、メンタルと筋肉は関係します。統計がないので科学的ではないですが、メンタルで動じることのない『芯の強い選手』は『芯の筋肉の強い選手』につながります」

 鈴木は週に2回45分間、桑原のメニューをこなしていたが、この手のエクササイズは総じて単調なもの。そのことに鈴木は音を上げ、「飽きる。もう無理」となった。

「優磨曰く『地味トレ』。これをしっかりやらないと怪我をしやすい身体になってしまう。しかし彼もクラブでのトレーニングや試合の疲れがあるので、45分間も地味トレができない。彼が『10分間なら大丈夫』と言うので、この短い時間にトレーニングをギュウギュウに詰め込んで、日々メニューを変える工夫をしながら毎朝の治療後に10分間のトレーニングをすることにしました」

 桑原はなぜ『45分間のトレーニング』という理想を捨て、選手に妥協するかのように10分間にトレーニングをまとめたのだろうか。そこには桑原の「人を知り、選手を診る・見る」というフィロソフィーがある。彼は鈴木の家族から「優磨は子どもの頃からサッカーにすべてを捧げ、やると決めたことは継続してきた」と聞いていた。一方、鈴木には「継続できるバランス」というものがある。地味トレに関しては10分間が、そのバランスだった。 

「僕の理想だけで『こうしたら良くなる』『朝45分間トレーニングしたら良くなる』と押し付けても、彼には培ってきたものがあるので、他人が一瞬で変えられるものではない。そこを最初はうまく寄り添って少しずつ方向を変えていくことが大事だと思う。人としての彼を知らなかったら、おそらくストレートに言ってしまったので、うまくいかなったと思います」
 
 1年、2年、3年...。地味トレを継続することで、鈴木は「長くやらないと分からないこともあるんだな」とそのトレーニングの奥深さを感じるようになった。

「それは本人が継続しているから。そして彼が継続できる人だから(地味トレの意義を)感じるとることができました。幼少期の頃からサッカーのために人生をサッカーに捧げ、そのためにやるべきことをやってきたのが優磨なんです。

 鹿島に戻った今も『チームメイトより1時間早くスタジアムに着いて、渡されたメニューを継続してトレーニングしている』と、彼の家族から聞いたときは嬉しかったですね。彼も『あのトレーニングをやらないとスイッチが入らず、怪我をしそうで怖い』という感じらしいんです。それは歯磨きと一緒で、やらないと気持ちが悪いのと同じ。同じルーティンをやることで、『今日はここが重い』『今日はここが硬い』と普段なら気付かないことに気付いて、対処することができる。

 自分の身体を知ることは、怪我の予防にもつながります。だからサッカー選手に限らず、僕は皆さんにルーティンを作ることをお薦めします」
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