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「イングランドでは16歳で選手か審判かを選ぶ」高校生で決意したJリーグのレフェリーという生き方【審判員インタビュー|第6回・高山啓義】

カテゴリ:連載・コラム

サッカーダイジェストWeb編集部

2023年09月14日

機械的にレフェリングしても...

レフェリングではスタンダードを遵守していれば大きく荒れることはないが、うまくいかないこともあると言う。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

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――お話に出たように、04年には国際主審になります。なぜご自身が国際主審に選ばれたと思いますか?

「国際主審の入れ替わりの時期だったと思います。JFAもAFCも、若手審判員を育てる、あるいは移行するタイミングだったことが大きいのではないでしょうか」

――国際主審としての活動はいかがでしたか?

「Jリーグ担当になったばかりの時は、自分の考えは持っておらず、言われたことをしっかりとやることを意識していました。言われたことをやっているので、枠の中にはハマりますよね。たとえば、Jリーグにはスタンダードビデオというのがあります。それを遵守すれば、選手も理解はしてくれますが、それだけを機械的にレフェリングしてもトップの試合ではうまくいかない。でも遵守していれば、大きく荒れることもない。

 ただ、それがレフェリーとしての力かと言えば、そういうことではないと思います。実際に、自身のレフェリングが通用しないと感じる試合がありましたから。それは、『フットボールアンダースタンディング』の不足です。国際主審になってからは、それを高めないといけないと、より強く感じました。

 あとは、国際主審としての意識を持つようにもなりました。当時は7人という少数です。私は、国内ではFIFAのワッペンを背負い、国際試合では日本を背負っていく重責を担うのだと。国際審判員の先輩方の後ろ姿も見てきましたし、色々な事を変えていかなくてはいけないと思いました」

――何を変えようと思ったのでしょうか?

「マインドですね。変えた、というより『甘さを捨てる』に変わったのだと思います。たとえば、試合中に選手から異議があったとします。『これくらいなら、まぁいいや』という気持ちになってしまうことがあります。でも、そうではないですよね。

『これくらいなら受け入れられる』なのか『これ以上はダメだと注意を与える』のか、『これは異議として警告を掲出しなければいけない』のかと段階がある。

 それを『まぁいいや』で片付けない。その『まぁいいや』はすべての判定につながると思いますし、『国際主審の判断なのか?』という部分をすごく深く考えるようになりました。その『まぁいいや』も生活にはありますよね? レフェリーとしても、普段の生活からも『まぁいいや』を捨てました」
 
――では、04年は審判員としてのターニングポイントだったのですね。

「はい。あとは、2006年にドーハで行なわれたアジア大会の決勝ですね。大会への参加自体は、04、05年にも参加したのですが、あまり良い評価を勝ち取れませんでした。

 3度目は、大会前にAFCから『何々をしなさい』というスタンダードを指導され、最終的に決勝戦のアポイントを受けたというのは評価をされたということですし、しっかりと決勝を終えられたのは今後につながっていくのだと感じました」

――32歳でAFC大会のファイナルを務めた経歴を見れば、エリート路線だと思います。07年には西村さんがFIFAの大会に参加されてはいますが、高山さん自身もワールドカップを意識されなかったのでしょうか?

「国際主審になると、そのなかで序列があるのが分かるんですよね。だから、国際主審内でも切磋琢磨する部分があるのですが、一方で、トップレフェリーを見ていると、自分に足りない部分ばかりが見えてしまう。分かりやすく言うと、個性の表われかたが違います。

『アセッサーに言われたことをやる』という話をさせていただきましたが、トップレフェリーには、AFCの方針であるコンシダレーションポイント(考慮すべき事項)に沿いつつも、自分の個性もプラスアルファで出せます。

 国際主審として活動をしていた期間は、年に2回、AFCの研修会でマレーシアに行くのですが、ワールドカップにアジア代表としていくトップレフェリーたちを間近で感じたことで、自身がもっと成長しなければと刺激になっていました」

>>>後編に続く
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