４-３-３の韓国の中盤は、アンカー＋２枚のインサイドハーフの編成。このアンカーのパク・ヨンウが“肝”だった。巧みにパスを捌くなど、彼を経由して攻撃を組み立てていくなかで、インサイドハーフが動き回って日本の選手たちを振り回し、空いたスペースに両ウイングが入り込んできて攻撃を仕掛けていく。そのスムーズな入れ替わりに、日本は後手に回りっぱなしだった。
 
　となると、いかにこのアンカーを潰すか。パスの供給源を断てるか。２トップが懸命にプレスをかけていたけど、彼らふたりは韓国のCBも見なければならない。数のうえでは２対３の構図。韓国の選手たちはボールスキルも高いから、ふたりで３人を相手にするのは困難なタスクだった。
 
　それなら誰がアンカーを見るべきか。日本は２ボランチのひとりが前に出て行って対応すれば良かったと思う。もっとも、２ボランチは相手の２枚のインサイドハーフを見なければいけないから、ひとりが出て行けば、韓国のインサイドハーフ１枚がフリーになる。
 
　そのフリーになった選手には、近くのサイドハーフが絞ってマークをする。そうなると今度は、同サイドの相手のSBの前ががら空きになって、攻め込まれるスペースを与えることになる。これに対しては、日本のSBが高い位置を取り、ウイングバックのようなポジショニングで牽制すればいい。
 
　SBが前に出れば、後ろは３枚になるけど、この変則型３バックで、韓国の３トップに対峙する。マンツーマン気味になったとしても、すでに述べたように、日本のCBには岩波、植田、奈良といったフィジカルに強いタイプが揃っている。積極的に前に出ていく守備でまずは韓国のパスワークのリズムを狂わせ、ロングボールを蹴らせるように仕向ければ、あとは空中戦に強いCBが弾き返してくれる――。
 
　４バックが一時的にでも３バックになれば、相手も戸惑うはず。ハイプレスでそのまま奪い切れれば、ショートカウンターにもつながる。相手の力が上だと感じて、自陣に引いて守るのは得策ではないと感じた。