ルーマニアのレジェンドが仕切るヴィートルル。
ウディネーゼのように選手の「発掘・獲得・売却」のサイクルをきわめて効果的に回しているクラブという点では、シャフタールの存在を忘れるわけにはいかない。
ここまで挙げてきたクラブと比べれば資金力も豊富なため、母国リーグ(主にブラジル)である程度活躍して市場価値が上がりはじめた選手であっても、800万から1000万ユーロ(約11億2000万~14億円)の高値で獲得することができる。そして数年後に売る際には、少なくともその3倍の値段がついているという寸法だ。
今夏のドグラス・コスタ(バイエルンに移籍)や2年前のフェルナンジーニョ(マンチェスター・Cに移籍)がその好例だ。
もし選手サイドが契約の更新を拒んだ場合には、今夏にイタリアに渡ったサンプドリアのMFフェルナンドや、ミランのFWルイス・アドリアーノのように1000万ユーロ前後でも売却に応じるものの、いずれにしてもしっかり利益は出している。
強化を一手に取り仕切っているのは就任12年目のルーマニア人監督、ミルチェア・ルチェスクだ。彼こそがシャフタールの躍進と安定の立役者と言っていいだろう。
最後にもうひとつ挙げたいのが、元ルーマニア代表のレジェンド、ゲオルゲ・ハジがオーナー兼監督としてトップを務めるヴィートルルだ。
ハジはこのクラブをみずからが経営する『アカデミー・ハジ』のトップチームと位置づけており、ルーマニア中からスカウトしてアカデミーで育てたプレーヤーを昇格させ、経験を積ませて国外に売却するというモデルを築きつつある。
2015年夏には、アカデミー出身の快速ウインガー、クリスティアン・マネアをチェルシーに、自身の長男イアニス・ハジをフィオレンティーナに計370万ユーロ(約5億1800万ユーロ)で売却している(前者はチェルシーからベルギーのムスクロンに、後者はフィオレンティーナからヴィートルルにその後レンタルされた)。
文:ジャンルカ・ディ・マルツィオ
翻訳:片野道郎
※『ワールドサッカーダイジェスト』2015.11.19号より加筆・修正
【著者プロフィール】
Gianluca DI MARZIO(ジャンルカ・ディ・マルツィオ)/1974年3月28日、ナポリ近郊の町に生まれる。パドバ大学在学中の94年に地元のTV局でキャリアをスタートし、2004年から『スカイ・イタリア』に所属する。元プロ監督で現コメンテーターの父ジャンニを通して得た人脈を活かしてカルチョの世界に広いネットワークを築き、移籍マーケットの専門記者という独自のフィールドを開拓。この分野ではイタリアの第一人者で、2013年1月にグアルディオラのバイエルン入りをスクープしてからは、他の欧州諸国でも注目を集めている。セリエAから下部リーグまで各クラブの会長やスポーツディレクターはもちろん、代理人からスカウトまで膨大な関係者と緊密なネットワークを持ち、しかもしっかり裏が取れるまでは決して情報を出さない。発信するニュースはすべて彼自身のプライドがかかったガチネタであり、ハズレはほぼ皆無と言っても過言ではない。
ここまで挙げてきたクラブと比べれば資金力も豊富なため、母国リーグ(主にブラジル)である程度活躍して市場価値が上がりはじめた選手であっても、800万から1000万ユーロ(約11億2000万~14億円)の高値で獲得することができる。そして数年後に売る際には、少なくともその3倍の値段がついているという寸法だ。
今夏のドグラス・コスタ(バイエルンに移籍)や2年前のフェルナンジーニョ(マンチェスター・Cに移籍)がその好例だ。
もし選手サイドが契約の更新を拒んだ場合には、今夏にイタリアに渡ったサンプドリアのMFフェルナンドや、ミランのFWルイス・アドリアーノのように1000万ユーロ前後でも売却に応じるものの、いずれにしてもしっかり利益は出している。
強化を一手に取り仕切っているのは就任12年目のルーマニア人監督、ミルチェア・ルチェスクだ。彼こそがシャフタールの躍進と安定の立役者と言っていいだろう。
最後にもうひとつ挙げたいのが、元ルーマニア代表のレジェンド、ゲオルゲ・ハジがオーナー兼監督としてトップを務めるヴィートルルだ。
ハジはこのクラブをみずからが経営する『アカデミー・ハジ』のトップチームと位置づけており、ルーマニア中からスカウトしてアカデミーで育てたプレーヤーを昇格させ、経験を積ませて国外に売却するというモデルを築きつつある。
2015年夏には、アカデミー出身の快速ウインガー、クリスティアン・マネアをチェルシーに、自身の長男イアニス・ハジをフィオレンティーナに計370万ユーロ(約5億1800万ユーロ)で売却している(前者はチェルシーからベルギーのムスクロンに、後者はフィオレンティーナからヴィートルルにその後レンタルされた)。
文:ジャンルカ・ディ・マルツィオ
翻訳:片野道郎
※『ワールドサッカーダイジェスト』2015.11.19号より加筆・修正
【著者プロフィール】
Gianluca DI MARZIO(ジャンルカ・ディ・マルツィオ)/1974年3月28日、ナポリ近郊の町に生まれる。パドバ大学在学中の94年に地元のTV局でキャリアをスタートし、2004年から『スカイ・イタリア』に所属する。元プロ監督で現コメンテーターの父ジャンニを通して得た人脈を活かしてカルチョの世界に広いネットワークを築き、移籍マーケットの専門記者という独自のフィールドを開拓。この分野ではイタリアの第一人者で、2013年1月にグアルディオラのバイエルン入りをスクープしてからは、他の欧州諸国でも注目を集めている。セリエAから下部リーグまで各クラブの会長やスポーツディレクターはもちろん、代理人からスカウトまで膨大な関係者と緊密なネットワークを持ち、しかもしっかり裏が取れるまでは決して情報を出さない。発信するニュースはすべて彼自身のプライドがかかったガチネタであり、ハズレはほぼ皆無と言っても過言ではない。