――ルーキーの中野嘉大選手に何度も注文を出す姿が印象的でしたが、〝要求力〞もゴール量産の秘訣？

　俺がずっと言い続けて、第２ステージ13節のガンバ戦でようやく要求どおりのパスが来た。あの試合を通して、彼は『そこにパスを出せばゴールになる』という感覚が少し分かったはず。やっぱり細かいところは、こっちから何度も言わないと分からないですからね。自分もそうやって成長してきたので、これからもどんどん言いますよ（笑）。

――他にもアドバイスしていることはありますか？

　中野は本当に上手いけど、骨盤が硬いから身体の軸がぶれやすく、ミスも生まれやすい。骨盤の動きはすごく大事で、『そこを強化すれば、お前はもっと凄くなる』と言っています。味方のパスが少しずれて、相手がミスだと思うような場面でも、骨盤周りがスムーズに動けば自然と足が出る。その一歩の差が、プレーとしては決定的な差になる。骨盤周りが上手く動かないと、プレーの幅が狭まるし、身体の融通が効かなくなるので、かなり意識しています。
 
――風間監督は大久保選手について、「年齢的には休んだりするものだけど、ひと一倍練習して、すべての選手の見本になる」と評しています。

　極端に言えば、立てないとか、走れないなら難しいけど、それ以外なら多少痛くてもプレーしたい。単純に試合に出たいのもありますし、出られる状態であれば、それなりにやれる自信もありますから。ただ、足の指が痛いのは最悪でした。

――９月にレーザー手術した右足親指のことですね。

　スパイクを履くだけで痛くて、ボールを蹴れないどころか、まともに走れない。ただ今振り返ると、その時期に休まなくて良かったと思います。痛みを抱えながらも何点か取れたし、あの上積みがなかったら、きっと得点王にはなれなかった。

――川崎に移籍後の３年間で、総ゴール数に加え、総シュート数もリーグ最多でした（※2015年のシュート数は105本）。

　迷ったら打つ――。それを意識してこの３年間やってきました。それに、自信があるというか、『打ったら入るんじゃない？』と思ってしまう。だから、『勝ちたかったら、俺にパスを出せ』と、中野あたりには言ったことがありますよ（笑）。