「主力が売れるというのはポジティブなサインだ」
ブライトンの強みは、こうした最先端のスカウティングシステムが、クラブの強化戦略と密接に結びついているところにもある。ブライトンの強化戦略は無名のタレントの発掘だけでなく、彼らに最適な成長の機会と環境を与え、プレーヤーとしての価値を高めてメガクラブに高値で売却するところまで織り込まれている。それは選手サイドから見れば、キャリアの中でさらなるステップアップを目指す上で理想的な「中継点」となることを意味する。
例えば三笘にしても、仮に川崎フロンターレからダイレクトでチェルシーやアーセナル、あるいはマンチェスター・シティに移籍したとしても、他国リーグへのレンタルを繰り返した末に、一度も保有クラブに所属しないまま売却されるといった道を辿った可能性は低くない(実際、これまでシティやアーセナルと契約した日本人選手の大半がそうだった)。
しかしブライトンは、同じくブルームがオーナーを務めるベルギーのユニオン・サン=ジロワーズで、欧州の環境を経験させたうえでブライトンに呼び戻し、適切な出場機会を提供することで段階的に成長できるキャリアパスを三笘に提供している。しかも、ここで結果を残せばメガクラブへのステップアップを後押しすらしてくれるのだ。
例えば三笘にしても、仮に川崎フロンターレからダイレクトでチェルシーやアーセナル、あるいはマンチェスター・シティに移籍したとしても、他国リーグへのレンタルを繰り返した末に、一度も保有クラブに所属しないまま売却されるといった道を辿った可能性は低くない(実際、これまでシティやアーセナルと契約した日本人選手の大半がそうだった)。
しかしブライトンは、同じくブルームがオーナーを務めるベルギーのユニオン・サン=ジロワーズで、欧州の環境を経験させたうえでブライトンに呼び戻し、適切な出場機会を提供することで段階的に成長できるキャリアパスを三笘に提供している。しかも、ここで結果を残せばメガクラブへのステップアップを後押しすらしてくれるのだ。
実際ブルームはあるインタビューでこのように語っている。
「主力選手が売れるというのはポジティブなサインだ。スカウトやアカデミーを通した若い選手への投資によって“次"が準備できている限り、それは喜ぶべきことだよ。重要な戦力を手放す行為は好ましいとは言えないが、ビッグクラブが我々の選手に興味を持つということは、正しいクラブ運営ができている証なんだ」
これは他クラブと競合した際にも、選手に対する大きなアピールポイントとなるだろう。ブライトンに行けばプレー機会を得られ、しかもさらなるステップアップの準備ができるとなれば、一足飛びにメガクラブに行くよりもずっとポジティブな選択肢になるからだ。その意味でブライトンは、ザルツブルクやドルトムント、あるいはポルトやベンフィカ同様に「ステップアップクラブ」としての確固たるポジションを築きつつあると言える。それを支えているのが、最先端の「データドリブン(データに基づいて判断する)・スカウティング」だというのは、非常に興味深いポイントである。
文●片野道郎
※『ワールドサッカーダイジェスト』2023年3月16日号より転載
「主力選手が売れるというのはポジティブなサインだ。スカウトやアカデミーを通した若い選手への投資によって“次"が準備できている限り、それは喜ぶべきことだよ。重要な戦力を手放す行為は好ましいとは言えないが、ビッグクラブが我々の選手に興味を持つということは、正しいクラブ運営ができている証なんだ」
これは他クラブと競合した際にも、選手に対する大きなアピールポイントとなるだろう。ブライトンに行けばプレー機会を得られ、しかもさらなるステップアップの準備ができるとなれば、一足飛びにメガクラブに行くよりもずっとポジティブな選択肢になるからだ。その意味でブライトンは、ザルツブルクやドルトムント、あるいはポルトやベンフィカ同様に「ステップアップクラブ」としての確固たるポジションを築きつつあると言える。それを支えているのが、最先端の「データドリブン(データに基づいて判断する)・スカウティング」だというのは、非常に興味深いポイントである。
文●片野道郎
※『ワールドサッカーダイジェスト』2023年3月16日号より転載