大学時代から大阪体育大が独自で取り組んでいるフィジカル強化に勤しみ、対人プレーやボールを収める動きに取り組んできた林。鳥栖入り後は筋トレや身体のケアにより一層、磨きをかけたという。

「大学の時は身体のケアなんか全くやってなかった。バイトもしてましたし（苦笑）。最初はゴルフの球拾いをしていて、居酒屋でも２年くらい働いてました。そこの店長が親切な人で、賄い飯をものすごく食べさせてくれて本当に助かった。バイトというより食事しに行ってた感じです（笑）。でも４年になる前に腓骨にひびが入った自分を見て、『お前、サッカーをちゃんとやったほうがいいからバイトを辞めろ』と言ってくれた。そのおかげでプロになれたので、恩返ししなきゃいけないという気持ちは強かったですね。

　鳥栖では金崎夢生君（琉球）に可愛がってもらいました。FWにとって重要なメンタルの部分をすごく教えてもらったし、プレースタイル的にも似ていたんで、動き方や考え方を学ぶことができました」

　金崎もチューブトレーニングで体幹強化に励むようなストイックな男だ。屈強なDF陣と対峙するFWは強さとタフさがなければ生き抜いていけないと、先輩が身を持って示してくれたことで、林の意識が高まったのは間違いない。
 

「シント＝トロイデンに来てからも、鈴木優磨君（鹿島）、香川真司さん（C大阪）、オカさん（岡崎慎司）と一緒にやる機会をもらいました。オカさんとは『成長って感じられないよな』『とにかく成長してぇー』っていつも言い合ってます（笑）。そういう向上心の強い人たちや外国人選手を見ていて、やっぱり『FWは自己中の塊みたいなもの』だと再認識しましたね」

　そう言って笑う林は、若手世代の中ではガツガツ感を押し出す選手として知られるが、ベルギーでの１年半でそうした部分が研ぎ澄まされたのではないか。野心を持ってゴールに突き進むことで必ず未来は拓けてくるだろう。

　さしあたって、考えるべきなのは、目標である二桁得点を達成し、STVVのPO進出の立役者になること。林にはそれだけのポテンシャルがあるはずだ。

取材・文●元川悦子（フリーライター）

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