レフェリーは、今日明日で生まれるわけではなくて、場数や経験数も大事
――身体作りはどのようなことをされましたか?
「長距離は苦手ですが、短距離は得意。でも、カウンターについていって、さらに争点まで入っていくとなると、今まで以上に距離も伸びますし、スプリントも必要になります。それを何往復も何試合もやるとなると、怪我をする可能性が高まります。
まずは、筋力トレーニングを増やして、走り込みに耐えられる身体を作りました。周りに『何をやっているの?』と不思議がられたのをすごく覚えています。
でも、イングランドに2010年と2014年のエミレーツ・カップの担当を含め、3回行ったのですが、イングランドでは朝から筋力トレーニングをするレフェリーが多いんですよ。なかには身体が重すぎないかな? というレフェリーもいますが、基本的にはしっかりと身体を作っています。ピッチ上での存在感も意識していて、トレーニングで内から出る自信もあるでしょうし、今日、明日で身に纏えるわけではなくて、続けることで『レフェリーオーラあるよね』と思われる、単純なサイズだけではない大きさがあります」
――アシスタントレフェリーの方に取材した時に、「私は小柄だから、レフェリーよりも、アシスタントが向いている」と仰られていたのを思い出しました。他にもイングランドのレフェリーと触れ合って、驚いたことはありましたか?
「私が2010年にイングランドに行った時、マイケル・オリバーが24歳でプレミアリーグのレフェリーデビューをしたのですが、その時に年上のレフェリーたちが『マイケル・オリバーを2022年のワールドカップで吹かせる』って言っていたのをすごく覚えています。そこまで逆算すると、24歳でプレミアリーグを吹いていないといけない。育てるための割り当てでもありますよね。
そんな状況で、さらに年上のレフェリーたちがマイケル・オリバーを育ててもいました。たとえば、マイケル・オリバーは、試合後にサンダルで帰ろうとして、それを年上のレフェリーたちが『そんな生活態度ではダメだ』と戒める。まだ独身でしたから、食生活なども指導されていました。
レフェリーは、今日明日で生まれるわけではなくて、場数や経験数も大事で、さらに年功序列というわけでもない。育成の戦略も必要だなと思いました。当時の私は、2022年のことなんて考えていませんでしたから」
「長距離は苦手ですが、短距離は得意。でも、カウンターについていって、さらに争点まで入っていくとなると、今まで以上に距離も伸びますし、スプリントも必要になります。それを何往復も何試合もやるとなると、怪我をする可能性が高まります。
まずは、筋力トレーニングを増やして、走り込みに耐えられる身体を作りました。周りに『何をやっているの?』と不思議がられたのをすごく覚えています。
でも、イングランドに2010年と2014年のエミレーツ・カップの担当を含め、3回行ったのですが、イングランドでは朝から筋力トレーニングをするレフェリーが多いんですよ。なかには身体が重すぎないかな? というレフェリーもいますが、基本的にはしっかりと身体を作っています。ピッチ上での存在感も意識していて、トレーニングで内から出る自信もあるでしょうし、今日、明日で身に纏えるわけではなくて、続けることで『レフェリーオーラあるよね』と思われる、単純なサイズだけではない大きさがあります」
――アシスタントレフェリーの方に取材した時に、「私は小柄だから、レフェリーよりも、アシスタントが向いている」と仰られていたのを思い出しました。他にもイングランドのレフェリーと触れ合って、驚いたことはありましたか?
「私が2010年にイングランドに行った時、マイケル・オリバーが24歳でプレミアリーグのレフェリーデビューをしたのですが、その時に年上のレフェリーたちが『マイケル・オリバーを2022年のワールドカップで吹かせる』って言っていたのをすごく覚えています。そこまで逆算すると、24歳でプレミアリーグを吹いていないといけない。育てるための割り当てでもありますよね。
そんな状況で、さらに年上のレフェリーたちがマイケル・オリバーを育ててもいました。たとえば、マイケル・オリバーは、試合後にサンダルで帰ろうとして、それを年上のレフェリーたちが『そんな生活態度ではダメだ』と戒める。まだ独身でしたから、食生活なども指導されていました。
レフェリーは、今日明日で生まれるわけではなくて、場数や経験数も大事で、さらに年功序列というわけでもない。育成の戦略も必要だなと思いました。当時の私は、2022年のことなんて考えていませんでしたから」
――非常に興味深いお話で、日本にも必要な戦略かもしれません。では、2015年のアジアカップが国際審判員としてのターニングポイントとなり、その後の2016年にはリオデジャネイロ五輪のレフェリーにノミネートされ、グループリーグで1試合、レフェリーを務めました。
「アポイントされると思っていなかったので、驚きました。後々考えたら、2018年のロシア・ワールドカップの候補に入っていたので、その候補全員を同じ大会ではテストできないじゃないですか? そんな背景もあり、『このグループはこの大会』と分けられて、私は五輪だったのでしょう。
グループリーグ1試合をレフェリーとして担当し、もう1試合、担当したかったのですが、ある程度割り当ては最初から決まっているそうです。FIFAのアセッサーからも「(もう1試合吹きたい)気持ちは分かる。必要なのはAFC内でのランキングを上げることだ」と言われました。AFCからは3人ノミネートされたのですが、それを聞いてなるほどと思いました」
――グループリーグ第1節と第3節を担当したサウジアラビアのファハド・アルミルダーシ、同じくグループリーグ第1節と第3節、さらに決勝戦を担当したイランのアリレザ・ファガニですね。
「AFC内のランキングなども知らなかったので、明確にあることがリオ五輪で分かりました。私たちには開示されないのですが、AFCからの『1番が〇〇で、3番は佐藤だ』という原案を受けたFIFAが、オートマチックに割り当てていく。五輪の1試合が良かったから、次が割り当てられるというわけではない」
――加点での割り当てはなくて、減点で割り当てがなくなるというような。
「かもしれないですね。いずれにしろ、FIFAの大会でレフェリーを務めるには、AFC内での評価が必要になってくると感じました。FIFAもレフェリー全員を把握できるわけではないですから、各大陸のサッカー連盟の審判委員会に訊くのは仕方ないですよね」
――「この試合はビッグマッチじゃないから」と手を抜いていると、そもそもビッグマッチが回ってこなくなる。すべての試合がワールドカップにつながるわけですね。
「はい。リオ五輪で学んだのは、国内でも、AFCでも、自分が与えられたすべての試合をきちんとやっていくしかないと強く再認識できたことです」
――ワールドカップのノミネート候補レフェリーは、ポラール(トレーニングガイダンスや、心拍数、24時間/365日のアクティビティトラッキング、睡眠とリカバリーを自動的にモニタリングする機械)で管理されるのでしょうか?
「いえ、女子ワールドカップは厳しいようですが、男子は特に今はポラールを必ずつけなさい、というのはありません。そのような管理はなく、個々に任され、大会前の体力テストのクリアがマストですね」
>>>後編( https://www4.targma.jp/fbrj/category/footballweekly/ )に続く
「アポイントされると思っていなかったので、驚きました。後々考えたら、2018年のロシア・ワールドカップの候補に入っていたので、その候補全員を同じ大会ではテストできないじゃないですか? そんな背景もあり、『このグループはこの大会』と分けられて、私は五輪だったのでしょう。
グループリーグ1試合をレフェリーとして担当し、もう1試合、担当したかったのですが、ある程度割り当ては最初から決まっているそうです。FIFAのアセッサーからも「(もう1試合吹きたい)気持ちは分かる。必要なのはAFC内でのランキングを上げることだ」と言われました。AFCからは3人ノミネートされたのですが、それを聞いてなるほどと思いました」
――グループリーグ第1節と第3節を担当したサウジアラビアのファハド・アルミルダーシ、同じくグループリーグ第1節と第3節、さらに決勝戦を担当したイランのアリレザ・ファガニですね。
「AFC内のランキングなども知らなかったので、明確にあることがリオ五輪で分かりました。私たちには開示されないのですが、AFCからの『1番が〇〇で、3番は佐藤だ』という原案を受けたFIFAが、オートマチックに割り当てていく。五輪の1試合が良かったから、次が割り当てられるというわけではない」
――加点での割り当てはなくて、減点で割り当てがなくなるというような。
「かもしれないですね。いずれにしろ、FIFAの大会でレフェリーを務めるには、AFC内での評価が必要になってくると感じました。FIFAもレフェリー全員を把握できるわけではないですから、各大陸のサッカー連盟の審判委員会に訊くのは仕方ないですよね」
――「この試合はビッグマッチじゃないから」と手を抜いていると、そもそもビッグマッチが回ってこなくなる。すべての試合がワールドカップにつながるわけですね。
「はい。リオ五輪で学んだのは、国内でも、AFCでも、自分が与えられたすべての試合をきちんとやっていくしかないと強く再認識できたことです」
――ワールドカップのノミネート候補レフェリーは、ポラール(トレーニングガイダンスや、心拍数、24時間/365日のアクティビティトラッキング、睡眠とリカバリーを自動的にモニタリングする機械)で管理されるのでしょうか?
「いえ、女子ワールドカップは厳しいようですが、男子は特に今はポラールを必ずつけなさい、というのはありません。そのような管理はなく、個々に任され、大会前の体力テストのクリアがマストですね」
>>>後編( https://www4.targma.jp/fbrj/category/footballweekly/ )に続く