【専門家によるビッグマッチ分析】アトレティコとバレンシアの成否を分けた指揮官の采配

カテゴリ:ワールド

シャビ・ギラ

2015年10月26日

シメオネはヌーノの交代策にことごとく対応した。

シメオネ(左)とヌーノ(右)の戦術ゲームは前者の圧勝。これが試合内容を大きく左右した。(C)Getty Images

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 2点のリードを奪って余裕が生まれたアトレティコは後半に入り、またもやその戦術的様相を変えた。相手守備の手薄なゾーンで効果的にボールを動かしながら、ポゼッションを高めるスタイルへと切り替えたのだ。
 
 この劣勢にバレンシアのヌーノ監督はようやく重い腰を上げ、55分、パレホに代えてバッカリを投入。純粋なウイングを入れることでサイド攻撃の強化を図った。
 
 しかし、アトレティコのシメオネ監督は直後、立て続けにF・トーレス(59分)とオリベル(69分)を投入して対応。フレッシュな人材による攻守の切り替えスピードとプレスの強度を高めると同時に、カウンターで違いを作れる2人を加えることで、前述のバッカリの投入を境にシステムを従来の4-3-3にシフトし、前掛りになって攻め込んできた相手を牽制したのだ。
 
 惜しむらくは、アトレティコの前線が数多くのチャンスを活かせなかったこと。それが低調なプレーに終始したバレンシアを相手に、スコア上では苦戦を強いられた最大の要因だ。
 
 単発的なチャンスからアルカセルのPK(72分)で1点差に詰め寄った後、バレンシアのヌーノ監督はペレスに代えてアタッカー色の強いピアッティを投入(80分)し、さらに攻勢を強めた。
 
 しかし、ここでもアトレティコのシメオネ監督は、グリエーズマンに代えてコレアを投入する(82分)という前線の選手同士の積極的交代で対抗し、相手に付け入る隙を与えなかった。
 
結局、指揮官の采配がモノをいう形でアトレティコは2-1で逃げ切りに成功。力の差をまざまざと見せつけられバレンシアは、今後に向けて大いに不安を残す内容/結果となった。
 
分析:シャビ・ギラ
翻訳:下村正幸
 
【分析者プロフィール】
XAVI GUILA(シャビ・ギラ)/グアルディオラがバルサのトップチーム監督に就任した08年以降、バルサの外部スタッフとしてカンテラを含む全カテゴリーのチームをサポート。独自に開発した分析ソフトを提供し、活用法をレクチャーしている。
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