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【アナリスト戦術記】柏レイソルの下馬評を覆す要因となった守備戦術。「見る」ではなく「奪いに行く」優位性

カテゴリ:Jリーグ

杉崎健

2022年05月05日

ボールを握ることを放棄しているわけでもない

柏の堅守を語るうえで、守護神キム・スンギュは無視できない。抜群のセービングでピンチを救うなど、まさしく“壁”となっている。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真)

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 さらに言えば、最後の砦である韓国代表のキム・スンギュの話をしないわけにはいかない。ボックス内でフリーでシュートを放った川崎戦の遠野大弥のボレーをストップしたり、名古屋戦の金崎夢生のヘディングをギリギリでかき出したりと、まさしく“壁”となっている。彼の存在によって5バックはチャレンジ&カバーを広範囲に行ないながら、距離感を保って守れている時は堅牢を作れている。

 守備が固いチームの典型は、全員が引いてスペースを埋めて守るリトリートが挙げられがちだが、彼らの守備戦術はそれではない。ボールを握ることを放棄しているわけでもなく、ボール支配率はリーグで9位である。

 リーグ戦において無得点で終わってしまったのも11試合を終えて鹿島戦と川崎戦と京都戦の3つだけ。3つは少ないとは言えないかもしれないが、相手はリーグ王者だったり現在でも上位陣の顔ぶれ。それだけ攻撃面でも力を発揮できているからこそ、3位という成績である。今回は守備戦術に特化するため攻撃面の詳細は避けるが、ぜひ柏の試合を見たことがない方はチェックしてみてはどうか。

 あまり外からウイークの話を多くすべきではないと思うが、試合を重ねるごとに相手も研究を重ねてきて、特にウイングバックとセンターバックの外から裏を狙うチームは増えていると感じる。これによってカバーに出てくることを利用し、中央や逆サイドを狙うチームは増えるだろう。

 今後は、そういった相手への対策をチームとしてどう打っていくのか。知将と呼ばれる監督以下、スタッフたちの修正力も問われるだろう。“下馬評を覆した”と言うと、スタートが下からとなってしまうが、あえて期待を込めてそう記した。上位争いを繰り広げ続けてくれる存在となるかどうかも見届けたい。
 
【著者プロフィール】
杉崎健(すぎざき・けん)/1983年6月9日、東京都生まれ。Jリーグの各クラブで分析を担当。2017年から2020年までは、横浜F・マリノスで、アンジェ・ポステコグルー監督の右腕として、チームや対戦相手を分析するアナリストを務め、2019年にクラブの15年ぶりとなるJ1リーグ制覇にも大きく貢献。現在は「日本代表のW杯優勝をサポートする」という目標を定め、プロのサッカーアナリストとして活躍している。Twitterやオンラインサロンなどでも活動中。

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