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【アナリスト戦術記】柏レイソルの下馬評を覆す要因となった守備戦術。「見る」ではなく「奪いに行く」優位性

カテゴリ:Jリーグ

杉崎健

2022年05月05日

5バックのスライドとカバーの意識が強い

リスクマネジメントで力を発揮する選手が多いのも特長。ドッジは典型で、遅らせる意味のディレイではなく、回収しきってしまうケースも多く見受けられる。写真:滝川敏之

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 特に敵陣での守備では、左の小屋松が前に出て2トップ化して相手のセンターバックへのマークとコースを切りながら、細谷真大と連係して限定しようとする。ここに3センターが次を予測し、さらにはウイングバックや3バックが全員前向きでインターセプトを狙う。

 この後方の5人がキーで、前線だけで行かせないよう非常にアグレッシブに奪いに行くのが特長だ。柏の守備戦術をひも解くうえで、「奪う守備」は1つのテーマであるように感じる。チームによっては、行き過ぎて間や後方を空けるのを避けるため「見る守備」をする場合もあるが、柏は比較的そうではなく、奪いに行くことが多い。

 5バックで後方を固めてリトリートするのではなく、ラインの設定もハーフウェーラインから10~15メートル前後でコントロールしているシーンが多く見られ、引きこもりすぎるわけではない。

 例えば、前線の5枚でけん制しながら圧力を強めていくなかで、どうしてもサイドに出るのが遅れるケースがある。そこには必ずウイングバックが出て引っ掛けるのを狙ったり、時にそれを飛ばされて中央を使われても、3バックの中央の高橋祐治が出て対応したりするなど、全員の前への意識が強い。自陣に移される前に回収できるのはストロングと言えるだろう。

 あるいは敵陣で「攻撃」をしている時、当然ながら失った後のトランジションでひっくり返される可能性もあるわけだが、この時のリスクマネジメントで力を発揮する選手が多いのも特長か。3バックに加えてアンカーやボランチを務めることが多いドッジは典型で、遅らせる意味のディレイではなく、回収しきってしまうケースも多く見受けられる。

 まずはこの敵陣での守備がストロングだが、もちろん今後は、これらを逆手に取るチームが出てきたり、上記の選手が日程や怪我の影響で不在の試合も出てくるだろう。そうなるとまた違った側面が見られるはずだ。
 
 少し目線を落とし、自陣での守備の戦術面を見ると、前に奪いに出るのは変わらずも、やはりその反動で裏を狙われるケースが出てくる。その際に5バックがスライドとカバーの意識が強いため、かわされたり相手のスルーパスに対して修正することが多い。

 この質が高く、相手からすれば2トップ、3センターを外せてもウイングバックが出てきたり、その背後をカバーされたりと、要は最終ラインの背後まで到達するのが困難となるのだ。

 特にサイドの守備の圧力は、ネルシーニョ監督が現役時代にサイドバックだったこともあり、洗練されているように感じる。ウイングバックは前に出るのか、ステイか、出るなら後ろはどうカバーするかなど。

 鳥栖戦を除けば大崩れしていないのは、こうしたディテールの落とし込みだと推測できるが、同じ方法で乗り切れるほどJリーグは甘くない。それは過去の監督の実績も含めて理解しているはずなので、今後の変化にも注目したい。

【PHOTO】敵地・エディオンスタジアムに集結した柏レイソルサポーター!
 
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