【女子W杯】「苦しい時は――」澤穂希に支えられてきた“なでしこジャパン”

カテゴリ:日本代表

松原 渓

2015年07月07日

「自分たちがあの立場になったら絶対にできないと思うくらいサポートしてもらった」(鮫島)

決勝戦ではセットプレーから2点目を誘発。ベンチスタートでも存在感は絶大だった。(C) Getty Images

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 今大会では先発の座を失い、途中出場の切り札として投入されることが多かったが、練習やベンチでは積極的にチームを盛り上げ、サポートした。これまでプレーでチームを引っ張って来た澤の献身的な姿勢は、チームメイトの心を動かした。
 
「声を掛けてもらえて良いレーができましたし、支えられていたから……最後こういう形で終わってしまって申し訳なかったですけれど、試合後は笑顔で迎えてくれました」(有吉)
「試合前に『大丈夫だよ、できるよ』ってハグしながら力を入れてくれました。ベンチからの声も絶え間なく聞こえていたし、自分たちが逆にあの立場になったら絶対にできないなって思うくらいサポートしてもらいました」(鮫島)
 
 試合後、澤は今大会を戦ったメンバー一人ひとりとハグを交わした。滅多に感情を表に出すことのない海堀が、泣いていた。絶対的な守備の柱である岩清水が、泣いていた。澤はやさしく、一人ひとりを抱きしめた。
 
 今大会メンバーの平均年齢はアメリカが29.13歳と出場チーム中最も高く、2位がなでしこジャパンの28.04歳。ベテランを多く擁する両チームには、常に世代交代の話題が付きまとった。
 
 しかし、年齢を重ねることで失われるものよりも、重厚な経験や多くの時間を共有して来たメンバーで構築するチームワークなどが、いかに勝負を決める要素になり得るかを、大会を通じて両チームは証明したと言える。
 
 澤がFIFA最優秀選手賞を獲得したのは、33歳の時だった。キャリアのピークは努力次第で変えられるということを、澤はそのキャリアで身を持って証明し続けている。
 
 ともにピッチに立つ選手だけではない。澤が現役でプレーし続ける限り、なでしこジャパンを目指すすべての選手たちに、そのプレー、その背中から多くのものを感じ取ってほしい。
 
取材・文:松原 渓(フリーライター)
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